1月20日/意見書

「WTO交渉の再活性化に向けて」を提言


WTO新ラウンド交渉は、2001年11月の第4回閣僚会議(於:ドーハ)において立ち上がった。しかしながら、農業貿易および非農産品市場アクセスに関する交渉、投資を始めとする新分野4項目(シンガポール・イシュー)の交渉開始等をめぐって加盟国間の対立が続いており、昨年9月の第5回閣僚会議(於:カンクン)は閣僚宣言が採択されないまま閉会となった。
こうした中で、交渉のモメンタムを盛り上げることが大きな課題になっている。そこで、日本経団連では、さる1月20日、わが国政府並びに各国の政府および産業界に以下の提言を行った。

WTO交渉の再活性化に向けて

2004年1月20日
(社)日本経済団体連合会
  1. WTO新ラウンド交渉の成功は、ビジネス環境の改善を通じた先進国並びに途上国の福利厚生の向上、さらには世界経済の発展に不可欠である。
    日本経団連は、二国間および地域ベースの自由貿易協定の推進を含めた重層的通商政策を追求しているが、WTOによる多角的アプローチは国際通商システムの根幹であり、交渉の再活性化は急務である。

  2. 従って、各国は、カンクン閣僚会議の経験を生かし、柔軟性をもって交渉推進に向けた工夫と努力を継続する必要がある。その意味で、昨年12月の一般理事会において交渉の再開が実質的に先送りとなったことに危機感を覚える。カンクン閣僚会議におけるデルベス議長案をベースに早急に本格的な交渉を再開することを求める。

  3. 我々は、交渉全体を推進する上で、農業交渉の進展と途上国問題の解決が不可欠であるとの認識を変えておらず、全ての加盟国による努力を求めたい。

  4. 加えて、日本経団連としては、カンクン閣僚会議後のWTO交渉の状況を踏まえ、(1)非農産品市場アクセスの改善(全加盟国共通のフォーミュラ、分野別関税撤廃)、(2)貿易円滑化の交渉の早期開始、交渉期限内の妥結、(3)サービス貿易の自由化の推進(イニシャル・オファーの提出、内国民待遇・市場アクセスの大幅な改善、並びに自然人の移動の自由化)、(4)アンチダンピング協定の規律強化(具体的な協定改訂交渉の進展)、(5)電子商取引の自由化およびルール作りの進展を特に強く働きかけたい。
    投資ルールの構築については引き続き重視しており、同じように関心を有する主要な先進国、途上国が参加する複数国間協定(プルリ協定)の可能性などを含む現実的アプローチのあり方も検討すべきと考える。

  5. 日本経団連としては、2004年末という当初の期限内合意を諦めるものではなく、実質的な交渉の進展に向け、引き続き、我が国政府並びに各国の政府・産業界と連携をして活動していく。

以上

《担当:国際経済本部》

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