1月20日/英国進出日本企業に係わる税制セミナー
Introduction
ウィリアム・ペダー対英投資局チーフ・エグゼクティブや内国歳入庁の税制専門家を迎え、駐日英国大使館との共催でセミナーを開催した。佐々木ヨーロッパ地域委員会共同委員長、ゴマソール駐日英国大使による挨拶に引き続き、法人税、事業税、個人課税など英国における税制の現状と見通しについての詳細な説明があり、100名を超える聴衆との活発な意見交換が行われた。
英国は欧州において最も開かれた投資市場であり、対英投資は対欧州投資の20%を占めている。その主な要因は(1)経済的な安定、(2)事業環境変化の予見可能性の高さ、(3)内外企業無差別の対応、(4)柔軟で適応力のある労働市場、(5)研究開発への積極的な政府支援、(6)透明性が高く、ビジネスの要望を重視する税制度などである。
特に税制は、欧州ではアイルランドに次いで負担が低く、民間企業との協議に基づく制度改正を行っている。
日本企業の対英投資については、製造業投資は1990年代半ばから減少傾向にあるが、サービス分野は増加しており、160社以上が英国内に研究開発拠点を設置している。
英国はビジネスにとって好ましい環境整備を重点課題としている。法人税制についても企業競争力の向上と公平性を重視してきた結果、企業の税負担は主要国の中で低いレベルである(表をご参照)。
移転価格の事前価格合意をはじめ、今後も民間企業との共同作業を重視し、ビジネスの声が反映される税制を続けたい。
英国 | 日本 | 米国 | ドイツ | |
企業収益に対する税率 | 30 | 42 | 40 | 39.58 |
最高税率 | 40 | 50 | 45.45 | 51.20 |
雇用主の社会保障負担GDP比 | 3.6 | 5.10 | 3.60 | 7.20 |
最近の事業税の主な改正は、(1)個人のキャピタル・ゲイン税制の変更(2年以上保有されている事業資産について10%の実効税率等)、(2)研究・開発関連の税控除(2002年より大企業に対して実際の支出の125%の税控除等)、(3)大口持株に関する課税免除、(4)知的財産権、営業権、その他の無形資産に関する減免措置である。また、「エンタープライズ・キャピタル・ファンド」の立ち上げ等による金融へのアクセス改善や、VATフラット・レート(付加価値税の一律課税)制度の改善をはじめとする規制改革も進める考えである。