2月3日/日本イラン経済委員会(委員長 増田信行氏)

外国投資推進保護法の制定により、日本からの投資を期待する


Introduction
訪日したイラン・イスラム共和国のババック・アガイー経済財務省投資経済技術支援機構外国投資センター所長を招き、懇談会を開催した。同所長は、第3次5ヵ年計画(2000年3月〜)が順調に成果をあげる中で、外国投資推進保護法により外国資本のためのビジネス環境整備にも注力しており、関税障壁の撤廃などで早期のWTO加盟を目指すとした。また、欧州諸国からの投資が増加しており、日本からの投資にも大きな期待を表明した。

I.アガイー所長説明要旨

  1. 第3次5ヵ年計画により、財政・税制改革、国営企業の民営化、外資の積極的な導入、補助金の重点配分などの政策を強力に推進している。タンカー会社やイラン航空、液化ガス供給公社などの大規模な国営企業が民営化され、テレコム、発電、銀行、保険分野で政府の独占の排除、法人税率低減や各種優遇税制が実現した。政府による民間部門への融資も行われている。
    為替相場は、2002年3月に変動制に移行した。その後、イラク戦争などが発生したが、為替レートの変動率は2%以内に止まっている。さらに、非関税障壁の撤廃や関税制度の合理化を推進しており、できるだけ早くWTOに加盟したい。

  2. 外国投資推進保護法(FIPPA)が2002年5月に制定され、国際基準に見合う透明性の高い外資誘致策が行われている。また、外国資本市場で、イランはユーロボンドなどの公的債券を発行するとともに、中央銀行の独立性を高めてきた。その結果、イラン経済はこの3年間、5〜7%成長を達成し、2004〜2005年も8%成長を予想している。インフレ率は11.4%に、失業率も5.4%に改善した。また、経常収支は79億ドルの黒字を記録し、外貨準備高は240億ドルとなっている。

  3. 外国投資に関する事項は全て、経済財務省下の投資経済技術支援機構(OIETAI)が一元的に取り扱うことで、行政事務の簡略化、迅速化、情報の集約化が進んでいる。イランの投資先としての魅力は一層増しており、特に外国からの投資は、この2年間で欧州諸国を中心に400%伸びた。日イ経済関係では、貿易額は伸びているが、残念ながら、日本からの投資は少なく、改善したビジネス環境のメリットを十分に活かしていない。両国経済は相互補完的であり、政治的な関係も良好なので、石油、ガス、石油化学、自動車・同部品、医薬、観光などで、具体的な案件をぜひ実現していきたい。日本企業の対イラン投資の増加とともに、日本政府の支援も期待している。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
(1)核開発問題への対応、(2)総選挙の行方、(3)イラク復興への協力について聞きたい。

イラン側:
(1)IAIEの特別議定書に調印した。平和目的の核開発につき、国際社会の承認を得たい。
(2)選挙を巡る混乱は、自由化、民主化が進んでいる証拠である。
(3)主な宗派、民族間の対立があるが、国連が中心に復興を果すのがよい。
《担当:国際経済本部》

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