2月24日/松尾OECD科学技術産業局長との懇談会

イノベーションが成長を牽引する


Introduction
日本経団連(座長:根上卓也OECD諮問委員会委員長代行)では、OECDの松尾隆之科学技術産業局長を招き、OECD科学技術政策委員会閣僚級会合(2004年1月29日〜30日開催)の模様やブロードバンドの発展に関するOECD理事会の政策提言(2004年2月)などについて話をきくとともに懇談した。

I.松尾局長説明要旨

OECD科学技術産業局の中心課題は、知識、イノベーションが牽引するミクロの成長政策である。今回のOECD科学技術政策委員会閣僚級会合においても、この点を中心に、4つのテーマについて議論が行われた。
第1は、科学技術とイノベーションのインターフェイスである。OECD全加盟国において、このインターフェイスが向上している。これは競争力強化、生産性の向上が、各国政府の最優先課題となっていることを示している。また、インターフェイスが進むと、大学や公的研究機関が企業と連携して、政府と民間の資金を合わせて技術のブレイクスルーを図ることが必要になるので、知的財産権の管理が重要である。
第2に、人材育成と流動性が議論された。各国の優秀な人材が米国の発展を支えているとの見方もある。日本としても、国境を越えた知、人材のネットワークの構築が必要である。
第3のテーマは、科学技術関係の国際協力である。公的資金による研究開発の国際的なフレームワークづくりが大臣間で合意され、今後ガイドライン策定に向けた作業を行っていく。
第4に、セキュリティ/セーフティと技術の問題について議論された。バイオ・テロも視野に入れながら、バイオ・セキュリティに対する省庁の垣根を越えたガバナンスが、OECD加盟国の課題である。
ブロードバンドについては、「ITバブル」が崩壊した後も急速に伸びており(直近18ヵ月でサブスクライバー数は2倍)、家庭への浸透も、パソコン、ビデオカセットレコーダーより早い。OECDの見解としては、一つの技術であるブロードバンドに補助金をつけて普及させることは、競争法上好ましくない。また、ユニバーサル・オブリゲーションをブロードバンドに適用することは、時期尚早である。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
日本はPhD取得者が研究開発の担い手になっていない特殊な国か。

松尾局長:
いずれの国も抱えている課題であるが、日本は教育制度が要因でその面が強い。高い専門性で、トップクラスのイノベーションを深く追求する人材育成が大きな課題だ。
《担当:国際経済本部》

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