日本経団連活動レポート『経済くりっぷ』 No.40-03

Introduction
日本経団連ではかねてより、自立型経済発展を目指す沖縄県の産業振興に協力していくという方針のもと、現地視察ミッションの派遣や企業誘致セミナーへの協賛等を行っている。その一環として、このたび、沖縄県の稲嶺惠一知事より同県の投資環境、産業振興に向けた取り組み等について説明をきいた。

稲嶺知事説明要旨

１．投資環境全般について

1972年の返還以降、沖縄県には本土との経済格差是正のために６兆円余りの公的資金が投入され、急速にインフラが整備された。しかし、企業誘致は思うように進まなかったのが実情である。そこで知事就任以来、「魚よりも釣具がほしい」すなわち、「公共事業よりも企業を誘致するためのインセンティブがほしい」と訴え続け、その結果、沖縄振興特別措置法に基づく「特別自由貿易地域」、「情報特区」、「金融特区」といった企業に対する優遇措置が導入されるに至った。また、これらに加えて若年者雇用助成金交付、沖縄と東京とを結ぶ「情報産業ハイウェー」への無料アクセスといったインセンティブも用意しており、企業の投資環境は格段に改善されている。

２．特別自由貿易地域

特別自由貿易地域（中城湾港新港地区）に進出した企業については、10年間にわたって所得の35％が法人税の課税対象から控除される。また、同地域は保税機能を有しており、海外から貨物を搬入の上、加工して第三国に出荷した場合、関税が免除される。沖縄には半径2,000㎞以内に台湾、上海、ソウルといった東アジアの主要地域が含まれるという地理的優位性があり、これらのインセンティブを活かした中継・加工貿易の拠点として有望である。確かに、中国と比較すると人件費が高い点は否めないが、日本語でビジネスができる、優秀な若年労働者が確保できるという点は企業にとって魅力であると考えている。

３．情報特区・金融特区

情報特区（那覇市、浦添市、名護市、宜野座村）に進出した企業に対しても、税制上のインセンティブが与えられている。また、インキュベート施設も充実しており、ベンチャー企業の支援体制も整っている。情報特区にはこれまでに70社を超える企業が進出し、5,600人の雇用を生んだ。その多くが「情報ハイウェー」を活用したコールセンターである。今後は、コンテンツ産業など、幅広い業種の誘致に務めたい。金融特区（名護市）についても、同様に税制上の優遇措置が講じられており、今後の企業進出に期待している。

４．人材育成への取り組み

今年４月開校予定の国立沖縄工業高等専門学校では、ITやバイオの分野で即戦力となり得る人材の育成を目指している。沖縄への進出企業に対して優秀な若年労働力を提供できるものと確信している。

《担当：産業本部》

沖縄県の産業振興に向けた取り組み

－投資優遇策に注目

稲嶺知事説明要旨

１．投資環境全般について

２．特別自由貿易地域

３．情報特区・金融特区

４．人材育成への取り組み