3月8日/産業技術委員会、産業問題委員会合同会合(司会 庄山悦彦副会長)

知的財産戦略の進展

−荒井 知的財産戦略推進事務局長よりきく


Introduction
昨年7月に策定された知的財産推進計画(推進計画)は、本年度末を目途に進捗状況をフォローアップし、その結果をふまえて、必要な施策の追加・拡充を図ることとされている。そこで、産業技術委員会と産業問題委員会では合同会合を開催し、知的財産戦略推進事務局の荒井寿光事務局長より、知的財産戦略の進展について説明をきいた。

荒井事務局長説明要旨

小泉総理は1月の施政方針演説において、知的財産立国を目指すと述べた。これで3年連続して知的財産の重要性を表明したことになる。
知的財産立国とは、発明・創作を尊重するという国の方向性を明らかにし、知的財産の創造により、経済社会の再活性化を図り、日本人の発明と創作により、文明の発展に貢献するという国家戦略である。

1.今なぜ知的財産戦略か?

科学技術の進歩とともに、製法特許、物質特許、ソフトウェア特許、バイオ特許といったように、知的財産の範囲は広がってきた。内外の社会経済情勢の変化とともに、ものづくりから知恵づくりへと比重が移り、同時に知的財産の比重も高まっている。
米国は世界の頭脳センター、中国は世界の工場としての位置を明確にしているが、わが国はこのままでは世界の試作品工場になりかねない。これでは食べていけない。

2.知的財産戦略の進展

知的財産戦略本部で取りまとめた推進計画では、創造、保護、活用、コンテンツビジネス、人材育成の5つの観点から施策を打ち出している。
創造の観点からは、大学が早急なルールづくり、人材の登用、知的財産費用の確保を進めることが必要だとしている。
知的財産高等裁判所の創設、特許審査の迅速化、職務発明規定(特許法35条)の見直しについては、これまでの検討結果に基づき、今国会に改正法案が提出されている。
模倣品・海賊版対策の強化、医療関連行為の特許保護のあり方、知的財産信託制度の創設、国際標準化活動の支援については、引き続き検討し、競争力強化につながる制度を整備することが必要である。
コンテンツビジネス振興に関しては、昨年の日本経団連の提言を受けて、議員立法でコンテンツ促進法(略称)が提出される。また、政府は今年から3年間を集中構造改革の推進期間とし、コンテンツビジネスの大きな飛躍を目指す。この改革は民間主導であり、国はこれを積極的に支援する。

3.企業の知的財産戦略

基本特許を輸入し、改良特許で製品をつくり、輸出するという戦後の成功モデルはもはや通用しない。独占的実施、ライセンス、譲渡を戦略的に活用すべきである。
企業の偽物対策はまだ不十分である。徹底して偽物対策を行い、相手が怖がって偽物をつくらなくなる段階に到達すべきである。企業の技術情報管理も甘かった。政府の指針等を参考に、管理を徹底すべきである。

《担当:環境・技術本部》

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