奥田会長の発言から


3月16日(火) 日本経団連フォーラム21修了式「卒業生に贈る言葉」より
常にプリペアド・マインドを

「パスツールの言葉に、『プリペアド・マインド(Chance Favors the Prepared Mind)』というものがあります。これは、常に準備を怠らず、事が起きたら一刻も早く飛びついて、対応をできるようにするということです。
しかし、このような態勢にするためには、日頃から経験と知識の涵養、人との交流を通じて、いろいろな問題が起こった場合にどういう判断をするのか、自分の軸足をしっかりと持っていなくてはなりません。そうすればいろいろな事態におろおろせず、素早く対応できるようになります。」


動態的な技術革新の把握を

「『Innovation is the future』という言葉にある通り、21世紀の将来の中で一番予知されている事実は、技術革新の進歩がすごい勢いで進むということです。私たちは、どうしても今の科学技術のレベルで、物事を考えがちです。たとえば、自動車の世界では、100年前は馬車しかなかったのに、今では強力で馬力のある自動車の世界になっています。しかし、100年前の人たちは現在のような社会が到来することは、想像することさえできなかったと思います。
21世紀末がどのような社会になっているか、見通すことは難しいものがあります。これからの経営者は、静態的ではなく、動態的に技術革新がどう進むかに注目し、その動きに合わせて自分の会社の革新を進め、リーダーシップを発揮してもらいたいと思います。」


死に仕度 いたせいたせと 桜かな

「この一茶の句は、私が好きな句の一つです。現代人は、金で命を買えるという方向に向かいつつあり、生と死について考えなくなってしまいました。これも科学技術の成果であり、寿命を延ばすことはできます。しかし、死は必ず来るわけで、避けて通ることはできません。
会社の仕事の中でも、いつか自分にも死の時期が訪れることを意識し、一日一日を充実させ、励んでもらいたいと思います。こういうことの蓄積が、皆さんの成長の力になります。もうすぐ桜の季節ですが、私はそのたびにこの句を思い出して仕事をしています。」


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