3月25日/日本ブラジル経済委員会(委員長 槍田松瑩氏)

長い交流の歴史を基に、日伯の新時代を築きたい

−アモリン ブラジル外務大臣と懇談


Introduction
訪日したブラジル連邦共和国のセルソ・アモリン外務大臣を招き、懇談会を開催した。同大臣は、発足後1年を経過したルーラ政権下のブラジルの経済・社会の安定した状況を説明するとともに、ブラジルと中南米諸国を結ぶ大型インフラプロジェクト等に対する日本の協力への期待を表明した。

アモリン大臣説明要旨

アモリン大臣
  1. ルーラ大統領が就任してから1年が経過した。同大統領の厳しい金融、財政政策によって、ブラジルは国際社会の信頼を回復した。年率40%だったインフレ率は7%に収束し、ブラジルリスクも大幅に改善した。従来からの課題であった年金改革、税制改革にも積極的に取り組んだ。厳しい金融引締めにより、経済成長面では悪い影響が出た。しかし、ブラジルの輸出は順調であり、昨年は史上最高の200億ドルの貿易黒字を記録した。当面の課題は、政治社会の変革と持続的な経済成長である。確固たる経済成長と、十分な雇用の創出によってのみ、飢餓ゼロを目指した社会の安定が可能となる。

  2. ルーラ大統領は、メルコスール(南米南部共同市場)と南米大陸を重視している。南米地域で通商拡大の余地は大きく、地域統合のため、インフラ整備分野で大規模事業が実施される。これによって、日本は、ブラジルの農産物や鉱物資源を、太平洋を経由して従来よりはるかに安く獲得できる。
    地域経済統合についてブラジルは、米州全体を視野に入れたFTAA(米州自由貿易地域)と、メルコスールとEUのFTA(自由貿易協定)について交渉中である。

  3. ブラジルは、WTOのマルチの枠組みを最大限に活用する。ブラジルの通商相手は、25%がEU、25%が米国、20%が中南米諸国、15%がアジアと広範囲に分散している。こうした多様性を確保し、維持することは健全であり、今後は、アジアとの通商規模を拡大していきたい。より公平なルールを実現できるマルチの枠組みを活用し、一部の国が導入している農業分野への補助金やダンピング問題の解決を目指す。伯日両国は、ドーハラウンドで、意見の相違を超えて協調して物事を進めていく余地が十分にある。

  4. 両国関係を、本来あるべき姿に戻す必要がある。日伯双方の民間が一大奮起して、両国関係の再活性化に取り組んでいただきたい。1970年代、日本はブラジルの大規模プロジェクトへの最大の投資国であったが、最近は低迷している。ブラジルには現在、さまざまなインフラプロジェクトや、世界規模で環境面で貢献できる燃料用エタノールなど、多くの投資機会がある。

  5. ブラジルは、人種、宗教、文化などの面では、一切対立がない。政治面では、透明な体制が機能しており、適応力も極めて高い。その証拠として、ルーラ大統領は、初めて労働党から大統領となったが、前任者からの引継ぎをうまく行った。日本はブラジルに、安心して投資することができる。

《担当:国際経済本部》

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