3月24日/教育問題委員会(委員長 樋口公啓氏)

教育改革の今後の方向性

−文部科学省と懇談


Introduction
教育問題委員会では、文部科学省の金森越哉大臣官房審議官(初等中等教育担当)と、清水潔大臣官房審議官(高等教育担当)を招き、現在の教育改革の進捗状況について説明をきくとともに、種々懇談した。

I.金森大臣官房審議官説明要旨

初等中等教育改革について

文部科学省は、(1)教育内容改革、(2)教師改革、(3)学校改革を3本柱に、初等中等教育の改革を進めている。教育内容改革については、学習指導要領をミニマム・スタンダードとして明確に位置付けるとともに、「総合的な学習の時間」を充実するための方策を示した。教師改革では、研修制度を充実するほか、「指導力不足教員」に関する人事管理システムを構築しつつある。また、教員を能力や実績に応じて処遇するため、2006年度を目途に評価システムを導入する予定である。学校改革に関しては、校長の権限を拡大し、学校の説明責任を強化する。2002年度より、学校運営について自己点検を行うことが義務付けられているが、評価結果の公表を進めることが課題である。
教育改革を支えるためには、公教育への投資を充実する必要がある。公教育、特に義務教育は高い公共性があり、「義務教育費国庫負担制度」の根幹は堅持しなければならない。

II.清水大臣官房審議官説明要旨

高等教育改革について

大学進学率は、49%にのぼっている。進学者数の拡大に伴い大学は増加し、その結果、質も多様化した。今後は、少子化が進展する中で、質の向上を伴う構造変化が求められる。そのために、各大学が切磋琢磨して特色ある大学づくりに取り組めるよう、環境を整備する。具体的には、第1に、本年4月に国立大学を法人化し民間的経営手法を導入するなど、大学の運営システムの改革を行った。各大学の自主性・自律性を高める一方、護送船団方式の大学支援はやめる考えである。第2に、時代の要請に大学が柔軟に対応できるよう、学部の改組などに係る設置認可を弾力化するとともに、本年度より、全ての大学に対して第三者の評価を受けることを義務付けた。第3に、特色ある人材育成や研究を充実させるため、国公私立大学を通じて優れた教育研究プロジェクトに対する支援を強化する。第4に、大学の研究成果を社会に還元するため、知的財産本部をはじめとする産学連携の環境を整備する。

III.意見交換(要旨)

日本経団連側:
教育基本法改正に向けた動きはどうなっているのか。

文部科学省側:
昨年3月に、教育基本法の見直しについて中央教育審議会より答申をいただいた。国会での審議には、与党内での合意が必要であり、これを待っているところである。
《担当:社会本部》

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