4月13日/日本トルコ経済委員会(委員長 梅田貞夫氏)

貿易不均衡の是正と、日本からの対トルコ投資の増加を望む

−エルドアン トルコ首相と懇談


Introduction
訪日したトルコ共和国のレジェップ・タイップ・エルドアン首相を招き、懇談会を開催した。同首相は、両国の長い友好の歴史を強調し、トルコ経済が順調に回復する中で、トルコ産品の対日輸出や、日本の対トルコ投資の増加に期待を表明した。また、イラク復興に対する両国企業の協力について、言及した。

エルドアン首相説明要旨

エルドアン首相
  1. 19世紀末から始まった二国間の友好関係は、一層強まっている。特に1999年に二度にわたり発生したトルコ大地震の際、日本から多くの支援をいただいた。トルコ経済は順調に復興しており、改めて感謝申しあげる。2002年の総選挙後、トルコは政治的、経済的に安定した。インフレ率は30%から18%に下がり、2004年末には12%まで下げたい。また、昨年、輸出は前年比で30%以上増加し、経済成長率は5%となった。

  2. 金融と財政を引き締めたことで、公的債務残高は大幅に減少している。今年のはじめに国際市場でドル建て債券を発行した(総額15億ドル相当、期間30年間、金利8%)が、これまでで最もよい条件である。また、輸出も伸びており、まさにトルコ経済の回復と、海外の投資家からの信頼が高まっていることの証左である。

  3. トルコはEUに正式に加盟するための努力をしている。今年末頃には、トルコが、EUの正式メンバーになるための交渉開始の期日が決まるであろう。

  4. 日土間の貿易不均衡(トルコの対日輸出は1億ドル、輸入は18億ドル)を改善するために、日本市場を開拓したい。また、IT分野でトルコ、日本、EUの協力を進めるとともに、日本の大学や研究機関との連携を強化していきたい。
    外国からの投資を増加させるため、投資環境改善委員会を設置した。これにより、手続きが迅速化されるなど、日本からの投資が一層増えることを期待している。これまで、橋、ダム、水力発電プロジェクトなどが、日本の貢献によって実現した。日本の円借款も、迅速に行われており、イスタンブール海峡トンネル建設や高速道路のリハビリに関する融資手続きが完了したことは、大変喜ばしい。さらに、日本からの観光客数を増やしたい。

  5. 日本企業と協力し、第3国でビジネスチャンスを探求していきたい。カスピ海や周辺産油国の石油は、トルコを通るパイプライン経由で世界市場に運ばれる。また、トルコの建設業界はイラクをはじめとする周辺諸国で豊富な経験を有しており、大きな日土協力のチャンスになる。
    トルコは、歴史・文化面で、世界最大の産油国の1つであるイラクとつながりが強い。日本企業がイラク復興支援を進めていくためにも、トルコ企業との協力は非常に有益である。たとえば、現在、イラクとトルコの間に第2の税関を整備する計画がある。これは、日土企業がイラク復興のため実行可能なプロジェクトであり、ぜひ検討していただきたい。

    《担当:国際経済本部》

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