4月15日/意見書
経済法規委員会(委員長:御手洗冨士夫氏、共同委員長:小林正夫氏)では、これまで経済憲法である独占禁止法の重要性を認識するとともに、違反行為の抑止のためには、官製談合の問題や公正取引委員会の能力・体制の問題も含めて、独占禁止法措置体系の抜本的な見直しを求めてきた。しかしながら、公取委が、3月30日、今国会への法案提出を目標に取りまとめた「独占禁止法改正(案)の概要」は、経済界等が再三指摘してきた問題点をも置き去りにしたまま、課徴金制度の強化のみを図ろうとしている。当委員会としては、こうした法改正は到底容認できるものではないと考え、改めて4月15日、「『独占禁止法改正(案)の概要』に対する日本経団連意見」を取りまとめ、関係各方面に働きかけることとした。以下はそのポイントである。
公取委が、課徴金の法的性格について、従来の「不当利得の剥奪」から「行政制裁金」へ位置付けを変更した上で、措置体系の改革を目指していることを評価する。
しかしながら、「概要」は、以下をはじめとする諸点で制裁としての課徴金にふさわしい制度設計になっているとは言い難く、さらに法律的論点からも検討を重ねる必要がある。
加えて「概要」は、今回の独禁法改正の出発点となった独占禁止法研究会報告(昨年10月28日)から大きく乖離し、また、昨年12月24日の公正取引委員会「基本的考え方」からも異なる内容となっており、公正取引委員会はこれらの変更理由を明らかにするとともに、改めて「概要」について、広く学識者・国民各界の意見を聴くべきである。
以上の各点から、日本経団連としては、今回の「概要」にもとづき独禁法改正を拙速に進めることには反対である。
また、独占禁止法違反を根絶するためには、課徴金の見直しと合わせて、公共入札制度の改善、官製談合に対する発注者側への処罰強化、不当廉売規制の強化などを、同時並行的・整合的に進めるべきである。