4月14日/カナダ委員会(委員長 吉野浩行氏)

日本とカナダの経済連携強化を目指して

−外務省 佐々江経済局長と意見交換


Introduction
世界第8位の経済大国であるカナダは、G8、WTO等で、日本にとって重要なパートナーである。しかし近年、中国とカナダの経済関係が緊密化する一方、日本、カナダ各々にとって互いの存在感が薄れつつある。そこでカナダ委員会では、カナダの最近の経済情勢および日加経済関係について外務省の佐々江賢一郎経済局長より説明をきくとともに、両国の経済関係強化に関し意見交換を行った。また当日は、日加経済連携強化タスクフォース(座長:財前 宏氏)の設置を承認した。

佐々江局長説明要旨

1.カナダの新政権誕生

昨年12月にクレティエン首相が10年1ヵ月に及ぶ長期政権に幕を閉じ、ポール・マーティン氏が第27代目のカナダ首相に就任した。マーティン首相は大胆な機構改革、閣僚人事の刷新等をはじめとする改革に意欲を示している。対外政策に関しては、新政権では伝統的な対米関係重視は変わらないものの、対米経済関係を補完する意味で、中国、インド、ブラジルなどの新興経済大国に注目しているようである。

2.近年の日加関係

日加経済関係について、貿易・投資とも近年停滞気味であることを懸念している。日本はこれまでカナダにとって第2位の輸出相手国であったが、現在は中国に抜かれ第3位になってしまった。また、日加間の貿易・投資額もその経済規模に比して低い水準にとどまっている。その一方、カナダの中国からの輸入は、元々の水準が低かったにせよ2002年には1985年の水準の36倍に達している。
BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)の問題はあるが両国関係は基本的に良好である。しかし、それ故に互いの関係を当然視する傾向があり、関係維持・強化には意識的な努力が必要であろう。

3.今後の取り組み

カナダの対日投資残額が対日投資額全体に占める割合は3.4%であり、まだまだ増える余地があるといえる。日加経済人会議、日加フォーラム、トロント日本商工会など民間からの要望等も踏まえ、経済分野における戦略対話を行えば、両国経済関係の一層の強化をめざすことができる。経済関係強化策の案としては、貿易・投資に関する政策対話、双方向の貿易・投資の推進ならびに円滑化措置、両国における規制改革の推進、基準認証に関するハーモナイゼーションの推進、エネルギー・環境・観光・情報通信等の分野における協力推進等が、挙げられる。
一部に現状維持で良いとの声もあるが、カナダとの良好な関係を当然視し続ければ、カナダとは疎遠な関係になってしまうかもしれない。
政府がより有効に取り組むためにも、日加経済関係にどのような展望を開くかについて、ビジネス界のニーズをきき、それにそって進めていきたい。

《担当:国際経済本部》

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