4月15日/アメリカ委員会企画部会(部会長 本田敬吉氏)

日米両国の投資環境整備に向けて

−日米間の「投資イニシアティブ」の現状


Introduction
アメリカ委員会企画部会では、日米間のビジネス上の障壁を解消し、日米経済連携をさらに強化するために必要な枠組みや主要課題について、検討を進めている。その一環として、経済産業省通商政策局の貞森恵祐米州課長から、日米間の「投資イニシアティブ」の現状について、説明をきいた。

貞森課長説明要旨

日米間の「投資イニシアティブ」は「成長のための日米経済パートナーシップ」の下に設置されている。同イニシアティブは、日米両国への投資促進について議論することが目的だが、日本から米国への投資はすでにかなり行われているので、対日投資を推進することに特に焦点を当てている。日本は、市場規模も大きく、対日投資は、米国に対しても新しい貿易やビジネス・チャンスをもたらすものである。

日米投資イニシアティブでは、政府間協議と対日投資セミナーの開催等、日本国内向けのアウトリーチ活動を行っている。

政府間協議では、双方から投資環境の整備について、要望を出し合っている。日本側からは、米国のテロ対策強化に伴うビザの取得プロセスの煩雑化につき、改善を要請していたところ、オンラインによる面接予約の受け付け実施など、ある程度の改善が図られた。

その他、物流関連のセキュリティー対策として、輸出貨物に関して24時間前にマニフェストを提出するルールが導入されたことにより、日本企業にとっては配送のリードタイムが増加したことなどの問題を指摘した。さらに、日本側からは、米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)に基づくPCAOB(公開企業会計監督委員会)による外国会計事務所の登録・監督が日本の主権問題となり得ることを言及した。

米国側は、特に教育と医療分野への投資に関心をもっており、両分野への米国企業の投資機会拡大に繋がる規制改革を要請している。具体的には、日本に進出している外国大学の分校が日本において認定を受けた学校として活動できるようにすることや、医療機関経営への株式会社形態での民間事業者の参入機会の拡大などである。

また、米国側は、対日直接投資の主要な手段である国境を越えたM&A(企業の合併・買収)について、商法および税制などの整備を要請している。特に、税制について日本企業同士の株式交換には課税の繰り延べが適用されるが、外国企業との株式交換については、税制措置がないことが阻害要因となっていると指摘している。

今後の日米間の「投資イニシアティブ」のスケジュールとしては、5月中に報告書を作成し、6月初旬に米国のシーアイランドで開催される主要国首脳会議に合わせて公表すること、10月には日本・米国南東部会の開催に合わせて米国のアトランタとロサンゼルスで対日投資シンポジウムを開催することなどを計画している。

《担当:国際経済本部》

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