5月17日/行政改革推進委員会(委員長 出井伸之氏、共同委員長 草刈隆郎氏)

新たな推進体制のもとでの規制改革の課題

−金子 規制改革・構造改革特区担当大臣と懇談


Introduction
行政改革推進委員会では、金子一義 規制改革・構造改革特区担当大臣を招き、規制改革に関する政府の取り組みや今後の重点検討課題などについて話をきくとともに、意見交換を行った。

I.金子大臣説明要旨

1.特区による地域経済の活性化

規制は全国各地さまざまな分野に根を張っている。特区制度を活用した規制緩和により、新たなビジネスチャンスの創出につなげていきたい。すでにその効果は各地であらわれており、たとえば岩手県遠野市は農家民宿でどぶろくを提供できるようになり、観光客が5割増えた。三重県四日市市では、保安関係の規制の特例措置の導入によるコンビナート再生で700億円規模の設備投資が行われる予定である。また、福岡県北九州市では、響灘コンテナターミナルの完成等により、今後7年で1万人の雇用増を見込んでいる。こうした流れをさらに拡大していきたい。

2.規制改革の新たな推進体制について

この4月から総合規制改革会議の後継組織として、宮内議長をはじめ民間委員からなる規制改革・民間開放推進会議が発足した。それに加えて、今回新たに全閣僚からなる推進本部を設置することとした。一部に、本部の設置は民間委員の動きを封じるものとの批判的な報道がなされたが、そのような指摘は当たっていない。閣僚と民間有識者の代表が個別具体的案件の検討にあたって、同一のテーブルにつき議論することで論点が明確になり、より強力に規制改革を推進することが可能となる。

3.混合診療の導入に向けて

医療分野の規制緩和では、特に混合診療の導入が求められている。わが国には、全ての国民が等しく同水準の医療を受けることができることが望ましいというパブリック・アクセプタンスがある。しかし一方で、高度先進医療を推進し、先端医療機器や海外の最新の技術等を国内で積極的に使うことができる環境を整えることも大切である。そのためには、パブリック・アクセプタンスを乗り越えながら、規制改革を進めていかなくてはならないと考える。

II.日本経団連側発言要旨

草刈共同委員長:
特区制度は方法論としては大成功だと思うが、成熟期に入り、改善すべき点も見受けられる。今般、当委員会では、特区制度の改善提案をまとめたので、これを踏まえた見直しをお願いしたい。

鈴木部会長:
医療制度特区を創設して先端技術を積極的に導入する等、技術進歩に重点を置いた医療改革のモデルをつくるべきだ。

出井委員長:
医療改革を進めるために、医療水準を世界一とするための戦略を立てる必要がある。
なお、今後、当委員会として、規制改革に留まらず、国のあり方の再考といった大きな視点からの検討も行っていきたい。
《担当:産業本部》

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