6月7日/PFIセミナー

入札制度の充実がPFIの更なる推進の鍵


Introduction
日本経団連では、昨年に引き続き日本PFI協会と「PFIセミナー」を共催した。今回は、PFI事業の入札制度に焦点を当て、小倉勝彦国土・都市政策委員会PFI推進部会長の開会挨拶、公正取引委員会経済取引局総務課の筬島専課長補佐による基調講演「公共調達と独占禁止法」に引き続き、日本PFI協会の植田和男専務理事が「事業者選定プロセスの透明性と事例研究」について報告した。当日は企業や地方自治体のPFI担当者500人あまりの参加を得た。

I.小倉部会長開会挨拶要旨

日本経団連では本年1月に「PFIの推進に関する第三次提言」を発表し、その実現に向けた働きかけを行ってきた。中でも入札制度は最大の論点である。
PFI事業の推進に際してはVFM(Value for Money)の極大化、すなわち、一定のコストで最大限の品質の公共サービスを提供することが重要である。よって、入札に際しても、価格の要素が過度に重視されるあまり、サービスの品質が蔑にされてはならない。また、公共側がどのようなコンセプトのもとでいかなるサービスを提供したいのか、また民間事業者がこれに対してどのような創意工夫をもって応え得るのか、入札プロセスの中で充分な協議を行う必要がある。官民が英知を絞り、入札制度をさらに充実させていくことが重要である。

II.筬島課長補佐講演要旨

VFMの極大化が公共調達の目的であり、そのためには可能な限り競争性を確保する必要がある。この点、入札談合は競争入札の実質を失わしめる行為であり、排除・防止していくことが重要である。特に、発注機関の職員が入札談合に関与することがないよう、「入札談合等関与行為防止法」に基づき、適切に処置していく必要がある。
中小企業の受注機会拡大も競争性の確保との関連で問題となりうる。中小企業に関しては、「官公需法」に基づき、45.3%(2004年度)の契約目標が設定されている。この契約目標が受注機会の確保にとどまらず、結果の確保までも配慮した運用がなされている場合、中小企業の競争的な体質を弱め、その育成にとって逆効果である点を認識すべきである。
競争性の確保といえども、「一般競争入札」が常に妥当だというわけではない。事業者の創意工夫を最大限活用する上では、複数の事業者に提案を行わせ、発注者が個別に交渉を行うことで事業者を選定する「競争的交渉方式」が妥当な場合もある。

III.植田専務理事報告要旨

「競争的交渉方式」はEUで導入されており、わが国においても法律上明確に位置付けるべきである。「競争的交渉方式」の活用によって、入札前交渉を通じた発注者と民間事業者との間のリスク認識のギャップを解消できるばかりか、次点者も発注者と交渉することによって落札の可能性を見出すことができ、結果としてVFMの極大化に資するといえる。

《担当:産業本部》

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