行政改革推進委員会・行政改革懇談会(座長 奥田 碩氏) /12月19日

実効ある規制緩和推進計画の策定に向け、
連合と連携・協力することを確認


行政改革懇談会では、行政改革の推進に向けて、政府・政党関係者等との機動的な意見交換を行っている。今回は、政府の行政改革推進本部、規制緩和検討委員会の民間専門員に就任された日本労働組合総連合会(連合)の鷲尾悦也事務局長を招き、規制緩和への取り組みについて説明を聞くとともに、意見交換を行った。席上、政府が本年度内に策定する規制緩和推進5カ年計画の策定に向けて、連合と経団連が連携・協力していくことを確認した。

  1. 鷲尾事務局長説明要旨
    1. 連合の行政改革に対する考え方
    2. 労働組合は、雇用問題が足かせとなって行政改革には反対だと捉えられがちだが、そのようなことはない。先般、行政改革委員会の委員に就任した連合の後藤会長代行(自治労委員長)も、「行革は自ら痛みを伴うこともあろうが、今、行革をやらなければ今後の日本の発展は危うい」と言っている。
      というのは、高齢化の進展に伴って国民負担はますます増大することが予想されるとともに、もはや右肩上がりの経済成長は期待できない。そのような状況にあって、限られた資源を有効に配分し、社会的公正を確保した上で、いかに増大する負担を分担し合うかが大きな課題となる。その中で、行政のあり方も再考する必要があり、公的規制の見直し、縦割行政の是正、地方分権の推進、特殊法人の見直し、情報公開の推進などの問題に取り組んでいく必要がある。労働組合のスタンスが今までとは変わっていることを理解してほしい。

    3. 連合の規制緩和への取り組み
    4. 連合としても、94年2月の行革大綱にある「経済的規制は原則自由・例外規制、社会的規制は必要最小限のものとする」という規制緩和の大原則を徹底すべきと考える。
      特に、規制緩和の推進にあたっては、「雇用機会創出」を国民にアピールすることが重要である。一方で産業構造の転換と雇用の円滑な移転を進めるため、雇用対策の充実・強化が必要である。
      また、環境保全、災害防止、公正な労働条件の維持など、自由な経済活動に任せてはマイナスの副作用が生じる可能性のある分野に対する社会的規制については、現状の問題点を洗い出し、必要に応じて適正化もしくは強化することが必要である。その観点から、産業別最低賃金制度の廃止については反対である。
      規制緩和は実行が大変難しい問題であり、民間側が何千・何万とある規制に対する緩和要望を1つひとつ積み上げて、1つひとつ実行に移していくことが肝要と考える。
      連合としても、規制緩和の具体的な要望をとりまとめるため、39の産業別労働組合からヒアリングを行い、先般、中間報告をとりまとめたところである。経団連がまとめた19分野456項目の規制緩和要望と比較して、項目によっては多少の温度差はあるかもしれないが、大部分は連合と経団連との間で意見の齟齬はないのではないか。
      今後、個別の産業別労働組合等が各論部分で反対を唱えても、連合としては、規制緩和推進の必要性を訴え続けていきたい。

    5. 規制緩和推進計画の策定に向けて
    6. 政府は、94年度内に規制緩和推進5カ年計画を策定するため、94年11月25日、行政改革推進本部の下に規制緩和検討委員会を設置したが、その民間専門員として、連合からは私と得本副会長(自動車総連会長)が議論に参画することになった。経団連からは、鳥海丸紅社長と宮内オリックス社長が専門員に就任されており、規制緩和の推進に向け、連合と経団連とが連携プレーをとりながら官庁に対して共闘していきたい。

  2. 経団連側発言
    1. 規制緩和の問題は、国民的視野で取り組んでいく必要がある。経団連では、94年12月13日、モンデール駐日米国大使と懇談し、米国における規制緩和の効果を聞いたが、わが国では、規制緩和の効果などに対する認識がまだまだ不足している。
      産業構造の転換、国際化の進展の中で、ある程度の産業の空洞化はやむを得ない。この状況下では、連合のように、新規雇用の創出等の観点から、規制緩和に前向きに取り組む必要がある。

    2. 連合の姿勢を心強く思う。実効ある規制緩和推進5カ年計画の策定に向けて、連合と経団連が連携・協力していきたい。

    3. 規制緩和の必要性は今や国民の共通の認識となっているが、規制緩和の推進には、政治家のリーダーシップはもちろんのこと、規制緩和を国民運動として盛り上げていくことが重要である。

規制緩和推進5ヵ年計画の検討体制


日本語のホームページへ