アメリカ委員会(委員長 槙原 稔氏)/1月10日

日米両国は成熟した関係に移行へ


アメリカ委員会では、ジョン・D・ロックフェラー上院議員を招き、最近の米国議会動向と今後の日米関係などについて話を聞いた。ロックフェラー上院議員は、共和党主導の議会においても「日米関係に基本的変化が生じる理由はない」などと述べた。

ロックフェラー上院議員発言要旨

数年前まで日米両国は、緊密な関係にありながら、対外政策のゴールを政治に置く米国に対し、日本は経済に置いてきたために「同床異夢」の状態にあったと言われた。それが冷戦の終焉で日米の対外政策の目標は収斂しつつある。
日本は政治改革の真っ只中にあるが、日本の基盤は磐石であり、変化を糧にして上手に調整していくと期待している。日本はPKOの強化等を通じて国際貢献を進めており、政治、経済の両面で重要な役割を担いつつある。
これからは太平洋の時代と言われており、そうした中で米国が南米に目を向け、日本がアジアに目を向けることは自然である。これは脅威でなく、むしろ世界にとってプラスである。
多国間関係における日米関係も重要性を増している。例えばAPECにおいて日米は率先して貿易・投資の自由化を行うべきである。とは言え、日本には未だ非関税障壁があり、市場参入の障害を取り除くべきである。もし、日本が先進工業国なみの輸入を行えば、米国の対日輸出は500億ドル増加し、100万人の追加的雇用が実現する。
残念ながら日本は未だ貿易摩擦に十分な対応を行っていない。それが大統領に対日強硬路線を取らせる原因になっている。
両国関係強化の為には構造問題協議と包括経済協議によって始められた努力を継続する必要がある。つまり、米国の財政赤字削減と貯蓄奨励、日本の規制緩和の推進と総需要の刺激である。また、真摯な態度で話し合いを継続することが重要である。
これまで、首相訪米は特別なこととして扱われてきたが、今回の村山首相の訪米では、大々的な事前発表をしないなど、通常の行事として扱われた。これは両国関係が成熟期に移行したことを示すものである。
われわれは今後とも日本市場の開放への働きかけを継続する。「雨降って地固まる」と言うが、日米関係がそうした努力を通して一層深まることを期待する。
なお、共和党主導の議会においても対日政策に基本的変化はない。米国の外交政策は元来超党派で決定されているからである。議会は財政赤字の削減を最重要視しており、今後日本に米国の果してきた国際社会での役割分担を求める可能性がある。


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