駐欧州・旧ソ連各国大使との昼食懇談会(司会 三田副会長)/1月19日

日欧関係の強化に向けて産業界への期待


経団連では、欧州大使会議出席のため一時帰国中の駐欧州・旧ソ連各国大使との昼食懇談会を開催した。豊田会長、野村外務省欧亜局長挨拶のあと、3大使より欧州情勢の説明があり、日欧関係の強化に向けて、産業界への強い期待が寄せられた。

  1. 欧州経済・日欧関係(小林駐EC大使)

    現在の欧州は、失業問題、競争力強化、財政再建、共通外交・安全保障政策の構築、EUの深化と拡大など解決しなければならない課題に直面している。来年はサンテール新欧州委員長の下でマーストリヒト条約の見直しを控えているが、EUの合理化・強化を図る上でEUを統合性の強い機構にするのか、自由貿易地域的にするのかの論争が予想される。
    日EU関係は極めて良好であるが、欧州には日本の対米偏重に対する懸念がある。また、日本の輸入拡大や規制緩和についても十分には満足していない。日本の産業界として対米偏重の疑念を払拭し、輸入拡大、規制緩和、企業トップの交流、第三国での産業協力など、民間レベルでの努力をお願いしたい。

  2. 欧州政治情勢(英[はなぶさ]駐イタリア大使)

    欧州では各国政府の統治能力が低下しており、欧州統合への動きも一時の勢いを失っている。また、予断を許さないロシア情勢やボスニア紛争などもあり、不安定な政治情勢となっている。
    今後の欧州の政治的課題は、新しいEUおよび各国の指導者がドロール前欧州委員長の指導力と独仏枢軸によって進展してきた欧州統合の将来の方向性を決定しなければならないことである。また、冷戦後の欧州の安全保障の制度的な枠組みを構築するという課題にも直面している。

  3. ロシア情勢(渡邊駐ロシア大使)

    ロシアではチェチェン紛争の影響もあり、エリツィン大統領への支持が低下し、来年6月の大統領選挙での再選の行方も不透明になってきた。
    ロシア政府は、連邦の構成体であるチェチェン共和国が連邦法の適用を拒み、独立国としての地位をとっていることを放置できずに軍事介入することになった。チェチェン紛争は長期化しているが、対話によって解決することが期待されている。
    この事件はロシアの改革や政治、対外関係に大きな影響を与えると考えられる。


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