なびげーたー

実効ある規制緩和推進計画をつくるために

産業基盤部専門部長 立花 宏


内外から寄せられた規制緩和要望を最大限、「計画」に盛り込むとともに、民間の意見を反映できる政府側の規制緩和検討体制を確立すべきだ。

  1. 政府はこれまでの規制緩和策の集大成とも言うべき規制緩和推進5カ年計画を本年3月までに作成することを内外に公約している。経団連では、この5カ年計画の内容が充実したものとなるよう、次のような取り組みを行っている。

  2. まず、第1に、「計画」の策定プロセスを透明なものとし、民間の切実な規制緩和要望を、最大限盛り込むため、内閣の行革推進本部の下に、民間人で構成する作業部会の設置を政府へ働きかけた。その結果、昨年11月に民間人14人からなる規制緩和検討委員会が設置され、今月半ばに委員会の報告が取りまとめられることになっている。
    第2は、5カ年計画に盛り込むべき具体的な「タマづくり」である。政府は昨年秋、内外から規制緩和の要望を受け付けると発表した。その後、寄せられた要望は昨年12月末時点で165団体、約1,900項目にのぼった。経団連も昨年11月に、流通、運輸、農産物、エネルギー、金融など19分野、456項目の規制緩和を提言している。
    経団連の要望項目は、政府の規制緩和検討委員会での検討対象とされたものもあるが、委員会の検討時間が限られているという事情もあって全部が全部討議の対象となった訳ではなく、各省庁毎の検討に委ねられているものも少なくない。
    第3は、規制緩和の推進に向けた政府・与党への働きかけや社会各層との連携である。後者について言えば、例えば連合とは規制緩和の各論についても可能な限り協調すべく意見交換を続けている。

  3. 今後は、3月までの残された期間の取り組みが課題である。
    民間人が参加した規制緩和検討委員会の報告が役所の都合のいいところだけつまみ食いされたり、骨抜きにされないよう、経済界としても政治や行政側の対応を注視して働きかけを強めていく必要がある。
    また、内外から寄せられた1,900件の要望については、該当する規制を所管する省庁は、是非、5カ年計画の発表前に検討状況をオープンにすべきである。そうすることによって規制緩和に関する国民的議論を深めることが可能になり、海外からの不信の増幅を避けることができよう。
    規制緩和は今回の5カ年計画の策定をもって終わりということではもちろんない。要望が出されながら「計画」に盛り込まれなかった事項や新たな分野・事項については、引き続き行革推進本部の下に役割と機能を明確にした作業部会を設け、継続的な「タマ出し」作業を行う必要がある。
    そうした政府側の検討体制を確立してこそ第三者機関である行革委員会の監視機能も生きることになる。


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