第47回九州・山口経済懇談会/2月8日

アジアと九州の関係強化策について懇談


九州・山口経済連合会と共催により、標記経済懇談会を福岡市において開催した。「活力と創造性あふれる経済社会を目指して」を基本テーマに、アジアとの関係を含めた九州経済の現状と課題、行政改革と地方分権の推進、均衡ある国土の発展と地域の活性化について意見交換した。当日は、九州・山口側から川合会長ら地元経済人約270名が、経団連からは豊田会長、川勝・歌田・久米・鈴木・米倉・三田・末松・青井の各副会長が出席した。

  1. 開会挨拶
  2. 川合 辰雄氏

    九州・山口経済連合会会長
    九州電力会長

    川合 九州・山口経済連合会会長

    九州・山口地域の景気は緩やかな回復基調で、早期の本格的な回復が期待される。また、円高に伴う産業空洞化、ウルグアイ・ラウンド合意に伴う農業対策、循環型自動車道路の整備など将来の産業振興に向けて多くの課題を残している。
    今年はユニバーシアード福岡大会、APEC高級事務レベル会合など多彩な国際会議開催が予定され、97年のアジア開発銀行総会開催も内定している等、アジア諸国との交流に努めている。
    経団連におかれては、当地域の実情を十分に理解いただき、当地域の発展のため、支援・協力をお願いしたい。

  3. 活力と創造性あふれる経済社会を目指して
    1. 九州経済の現状と課題
    2. 野崎 元治氏

      九州・山口経済連合会副会長
      十八銀行頭取

      九州・山口の景気回復は緩やかで、民間設備投資・大規模小売店販売高の低迷、雇用等の問題がある。九経連の調査では、景気回復時期を大方が本年夏以降とみており、規制緩和・行政改革の徹底、減税の継続、土地対策の推進に対する期待は大きい。
      九州・山口地域の貿易の4割、投資の6割、当地在住留学生の9割をアジア諸国が占めており、施設建設や国際会議の開催、人的交流等、一層の交流拡大を図っていきたい。
      産業空洞化対策としては、今までの量産機能に加えて企業の管理機能の一部や研究開発機能を備えた「マザー工場化」へ取り組んでいる。
      また、九州国際空港は全国的、国際的視野からみても重要であり、実現に向けて経団連の支援をお願いしたい。

    3. 行政改革と地方分権の推進
    4. 和智 午郎氏

      九州・山口経済連合会副会長
      西部ガス会長

      地方の経済、文化、福祉等への政策は中央より、地域事情に通じている地方が実施する方が自然である。地方分権推進のためには、規制緩和を断行し、中央政府への依存体質を払拭すべきである。また、政治のリーダーシップと世論の支持が不可欠であり、マスコミの果たす役割は大きい。更に施設等のハード面、産業、観光等のソフト面といった地域の環境整備のために市町村の合併を含めた対応が必要である。
      空洞化による失業問題に対しては、規制緩和による新規産業の創出に期待している。規制緩和は行政の効率化だけではなく、日本経済の潜在的成長力を高めるために実行すべきである。

  4. 均衡ある国土の発展と地域の活性化
    1. 新産業の育成と重点プロジェクト
    2. 大野 茂氏

      九州・山口経済連合会副会長
      九州電力社長

      九州では2ヵ所のロケット打ち上げ基地があり、近くH−IIロケットの3号機が発射される予定である。今後は、航空技術の長期的研究開発推進方策の答申等を踏まえた上で、わが国の航空宇宙開発予算を拡充し、具体的なプロジェクトを推進することが望まれる。
      九州北部学術研究都市構想(愛称アジアス〔アジア+明日〕九州)は、当地域において、アジアとの関係を強める広域ネットワーク型の学術研究都市を整備する観点から重要である。
      九州は、古代から大陸文化の受入れ窓口として、豊富な文化遺産を有している。そのため九州にアジアとの学術文化交流の中核施設となる国立博物館を誘致したいので、支援願いたい。

    3. 新国土計画における九州・山口の課題
    4. 安藤 昭三氏

      九州・山口経済連合会副会長
      大分銀行頭取

      今回の阪神大震災は、東京から東海道、山陽道を貫く、いわゆる第一国土軸の過密化によるセキュリティーの問題を露呈させた。伊勢湾口から九州の熊本・長崎まで至る「太平洋新国土軸」を形成することは、ナショナル・セキュリティーを高めるためにも重要である。
      九州縦貫自動車道は約30年の年月をかけてようやく完成を見たが、九州新幹線の鹿児島ルート及び長崎ルートは完成の目処すら立っていない。地域における交通体系の整備は国がイニシアティブをとって進めるべきである。
      北部九州、沖縄をはじめとする当地域では、渇水に弱い地域が多い。福岡では、現在でも夜間8時間断水を行う等依然として厳しい状況にある。渇水対策を確立することが急務である。


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