東海地方経済懇談会/2月9日

災害に強い国家づくりを


中部経済連合会、東海商工会議所連合会との共催により懇談会を開催し、「活力と創造性あふれる経済社会を目指して」を基本テーマに、東海経済の現状と産業空洞化問題、首都機能の移転と地方分権の推進、均衡ある国土の発展と地域の活性化について意見交換した。
東海側から松谷中部経済連合会会長、谷口東海商工会議所連合会会長ら約170名が、経団連からは豊田会長、川勝・歌田・久米・鈴木・米倉・三田・青井の各副会長が出席した。

東海地方経済懇談会

  1. 開会挨拶
  2. 松永 亀三郎氏

    中部経済連合会会長
    中部電力会長

    阪神大震災を教訓に、災害に強い国家づくりの観点から、補完・代替する機能を持った第2東名・名神高速道路や中央新幹線等の基本幹線の複数化や、多方面にアクセス可能な環状線等の社会資本を早急に整備する必要がある。更に、東京での震災の可能性を踏まえ、中央政府のスリム化と首都機能の分散化が必要である。
    今後東海地方では、中部新国際空港、21世紀万国博覧会誘致問題等へのPR活動が活発化する。経団連には、一層のご支援、ご協力を賜りたい。

  3. 活力と創造性あふれる経済社会を目指して
    1. 東海経済の現状と産業空洞化問題
    2. 金丸 吉生氏

      三重県商工会議所連合会会長
      津商工会議所会頭
      百五銀行会長

      東海地域の景気は、円高や不安定な相場展開等から先行きは楽観できない。また、阪神大震災による生産停滞や物流の麻痺が懸念される。そこで、(1)補正予算の早期編成、法令等の改正による阪神地域の一刻も早い復旧、(2)国際的政策協調による為替の安定、(3)投資減税による企業の設備投資意欲の喚起、等の支援策が必要である。
      また、下請け企業の多い東海地域では、円高の影響で親企業が海外進出し、受注が減少することが懸念される。そこで、規制緩和の推進によって内外価格差の是正、生産性の向上、新技術の開発、付加価値の高い製品づくり、産業のフロンティア分野の開拓を促すことが肝要である。

    3. 首都機能の移転と地方分権の推進
    4. 安部 浩平氏

      中部経済連合会副会長
      新日本ヘリコプター会長

      日本経済の健全な発展と産業の活性化を目指した多極分散型国土形成には、首都機能移転と地方分権推進が必要である。
      政府構想の新首都における人口規模60万人は大きすぎる。現在の行政規模を前提とせず、規制緩和を推進した小さな政府づくりが必要である。
      中部地方はわが国の中央に位置し、交通至便で自然に恵まれ、開発余力も大きく、新首都の候補地のひとつとして相応しい。
      また、明治以来の府県制度は老朽化しており、市町村も3,200余りに分割され、行政基盤は脆弱である。地方分権推進のため、今年度末で期限切れになる合併特例法に代わる法律の制定を望んでいる。

  4. 均衡ある国土の発展と地域の活性化
    1. ナショナルプロジェクトの推進と新国土計画における中部の交通基盤整備
    2. 須田 寛氏

      中部経済連合会副会長
      東海旅客鉄道社長

      中部地域では豊かな自然を活かしながら、幅広い基盤整備を行うため、環伊勢湾総合開発構想を推進している。
      新しい全総計画の策定に際し、わが国の中央に位置する中部圏の立地条件を重視すべきである。具体的には、道路や鉄道、空港等の交通基盤を、わが国の東西軸、南北軸をバランスよく結節させる放射線状の交通体系(ロータリー構想)を中部に整備すべきであり、実現すれば、中部は第一国土軸と西日本の第二国土軸(新国土軸)、さらには日本海国土軸を結ぶ重要な要となろう。
      これらは国家的なプロジェクトとして推進すべきであり、土地買収が進むよう開発利益の地元への還元制度を設けるべきである。また阪神大震災の反省から、バイパス道路を早期に整備すべきであり、その意味でロータリー構想は大変重要である。

    3. 21世紀万国博覧会の実現と新たな地域づくり
    4. 瀧 季夫氏

      名古屋商工会議所副会頭
      瀧定会長

      21世紀万博の誘致活動は、88年の構想発表以来、地元の官民が一体となって積極展開しており、フランスやカナダの立候補地に対し愛知は一歩リードしている。
      昨年6月には、「技術・文化・交流―新しい地球創造―」というメインテーマをとりまとめた。
      また国のレベルでも来年度政府予算に約2,000千万円の調査費が盛り込まれた。経団連においても、21世紀万博が国家プロジェクトに位置づけられるよう協力願いたい。

  5. 閉会挨拶
  6. 谷口 清太郎氏

    東海商工会議所連合会会長
    名古屋商工会議所会頭
    名古屋鉄道会長

    中部では、中部新国際空港をはじめとする各種プロジェクトや21世紀万博の誘致等、わが国にとっても重要な課題を抱えている。
    経団連には、今後もこのような中部の地域づくりに理解・支援いただきたい。


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