自然保護基金運営協議会(会長 後藤康男氏)/1月27日〜2月3日

生物種の宝庫・パプアニューギニアにおいて豊かな自然と環境破壊の現状を視察


自然保護基金運営協議会では、パプアニューギニアに後藤会長を団長とする自然保護プロジェクト視察団を派遣した。国際的に評価の高い米国環境NGOのザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)の行う自然保護プロジェクトの視察を通じて、自然の賢明な利用方法としての持続可能な森林開発やエコツーリズムの可能性について検討した。また、初めての試みとして日本の有力環境NGOである日本野鳥の会を同視察に招いた。

  1. 生物種の宝庫パプアニューギニア
  2. パプアニューギニアのニューブリテン島の陸上・海洋における生態系の現状を視察した。ほぼ赤道直下に位置する同地域は生物の多様性に富む熱帯林や海の熱帯林とよばれる珊瑚が豊富であり(キンベ湾のみで世界の珊瑚の半数が存在)、同地域の自然保護の戦略的重要性について国際的に高い関心が集まっている

  3. 生態系への影響
  4. 海・陸・空から視察を行ったが、外国資本による森林伐採やオイルパーム、コプラ、コーヒーなどのプランテーション、また現地農民が行う焼き畑、ダイナマイトによる魚類の捕獲のため珊瑚礁が破壊されるなど自然環境への直接的破壊が進行するとともに、熱帯林伐採により土壌が海に流れ出し、珊瑚が死滅するなど海と陸の生態系の破壊が進行している。

  5. 自然保護の動き
  6. これに対してパプアニューギニアにおいて環境保全の重要性の認識が高まりつつあるが、土地の所有権のほとんどは部族にあり、外国資本などがプランテーション開発等のために提示する多額な資金の魅力には抗し切れないようである。環境を保全することが経済的に魅力的な代替手段でないと自然破壊は避けられない状況にある。
    TNCとしては地元コミュニティー、政府、NGOの協力を得つつ、環境と観光を結び付けるなど、より持続的な開発を目指した保護活動を進めようとしている。
    運営協議会としても、パプアニューギニアの自然を保護することの戦略的重要性に照らし、何らかの形で支援していく必要がある。
    〔なお、本視察に関する詳細は『月刊 keidanren』4月号に掲載予定〕


熱帯雨林を破壊するプランテーション


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