日本トルコ経済委員会(委員長 末松謙一氏)/2月27日
トルコ・チルレル首相歓迎昼食会を開催
トルコは94年初頭に経済が急激に悪化したが、その後の経済安定化政策の実施により、どこまで同国経済が回復しているかについて内外の関心が高まっている。タンス・チルレル首相は、歓迎昼食会(豊田経団連会長参加)において、欧州、CIS、中東等周辺地域とトルコの強い結びつきを強調するとともに、民営化をはじめとする自由化の推進により同国経済の将来は明るいとし、日本とのパートナーシップの強化を訴えた。以下はその要旨である。
1.欧州〜CIS〜中東の発展の鍵
- 現在欧州、中央アジアをはじめとするCIS、黒海沿岸地域、中東に大きな変化が生じているが、トルコはその発展の「鍵」である。
トルコは世俗主義の原則に基づく極めて安定した国であり、今後もそれは変わらない。中央アジアや中東とは文化、歴史、地理等の面で深いつながりがあり、引き続きCIS諸国の市場経済への転換や中東和平の推進に貢献していきたい。
欧州との関係も密接であり、来月にはEUの関税同盟に加盟する見通しである。これが実現すれば、トルコ製品の競争力が向上することは必至である。
2.中央アジアのエネルギーを欧州へ
- これらの地域全体の発展に資する構想として、中央アジアの石油、天然ガスをパイプラインによってトルコに運び、地中海を通して欧州に輸出し、欧州のエネルギー需要を満たすというものがある。
これは最近アメリカによって公式に提案されたプロジェクトであり、推進にあたっては、日本の官民との協力も可能である。
3.経済は安定へ
- トルコ経済は94年4月に実施した安定化政策によって、とくに対外均衡の面で改善している。
経常収支は7億ドルの赤字(94年)から3億ドルの黒字(過去10カ月) に転換した。対外債務についても、新規の借入や外国、国際機関の援助なしに単独で、スケジュール通り90億ドル返済した(過去10カ月)。
今後は国内均衡の改善が課題となるが、低インフレで持続的な成長を達成したい。現在のインフレ率150%を今年夏までに75%、年末までに40%に引き下げたい(最終目標は20%程度)。
4.民営化の本格化、日本との協力
- 国営企業の民営化とBOT方式のプロジェクトは、トルコ経済活性化の起爆剤であるが、2カ月前に関連法案が議会を通過するなど、法的な障害は克服した。今後電気通信、電力、銀行等の分野の民営化を早急に実現させていきたい。
日本には特に技術面での協力を期待する。このほか日本とトルコが協力できる分野は、エネルギー、水資源開発、食品加工、観光等である。
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