首都問題委員会(委員長 河野俊二氏)/2月27日

今後の地方分権の課題


政府では、2月28日、地方分権の推進に関する法律を上程した。これに先立ち、首都問題委員会では、地方制度調査会の会長を務められている関西経済連合会の宇野相談役を招き、法案の評価や今後の地方分権の課題について説明を聞くとともに、意見交換を行なった。
宇野相談役は「地方分権はこれからが正念場であり、首相の強い指導力が求められる」などと述べた。

1.宇野地方制度調査会長説明要旨

  1. 地方分権をめぐる議論の変遷
    地方分権をめぐる議論は、93〜94年頃に転換点を迎えた。それまでの議論は、道州制の導入や地方庁の創設など分権の受け皿論に終始してきたが、93〜94年頃からは、21世紀を見据えて、中央集権型国家体制から分権型国家体制への移行が議論の焦点となってきた。
    具体的には、国の役割は、国家としての存立に係る政策、全国的に統一されていることが望ましい基本ルールの制定、全国的規模で行われることが必要不可欠な施策等に限定し、生活に密着した行政は、地方が担うべきという議論である。同時に受け皿論も、当面、現在の都道府県・市町村の二層制を維持するという議論に変わった。
    こうした流れを踏まえて、第3次行革審の最終答申(93年10月)では地方分権推進法の制定を求め、地方制度調査会の答申(94年11月)では、推進機関の地方分権推進委員会の設置を提言した。今般、ようやく上程の運びとなった地方分権推進法案は、地方分権推進委員会の設置を盛り込むとともに、同委員会に監視・勧告権を付与し、かつ独立の事務局規定を設ける等、評価すべき内容となっている。

  2. 地方分権の今後の課題
    地方分権はこれからが正念場であり、首相の強い指導力が求められる。今後の課題は、まず、市民・住民レベルの世論をいかに盛り上げるかである。分権した場合のメリットを分かりやすく説明する努力が必要である。
    また、地方分権推進委員会の人選と事務局体制の整備など委員会の体制作りが重要な課題となる。さらに地方行革、中央省庁のスリム化が必要となってくる。また、長期的な課題として、都道府県レベルの自治体の統合等、地方の行政システムの改革にも取り組む必要がある。

2.経団連側発言

「地方分権は規制緩和を前提とすべきである」「自治意識の涵養が必要である」等の意見が出された。


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