中国経済改革講演会(経済広報センターとの共催)/2月13日

中国の経済改革と税制改革


高成長を続ける中国は「社会主義市場経済」の構築をめざし、昨年初めから税財政、外為、金融など各分野での経済改革を実施しているが、外国企業に対する増値税の運用にも見られるように、経済改革の具体的な進め方については試行錯誤の状況にあり、今後の改革には紆余曲折も予想される。そこで、中国国家経済体制改革委員会の彭森(ほう しん/Peng Sen)総合規画・試点司副司長ならびに財政部の史耀斌(し ようひん/Shi Yaobin)税政司副処長の2名の専門家を招いて講演会を開催し、中国の経済改革と税制改革について説明を聞いた。講演会には中国委員会等の会員企業・団体から約 300名が参加した。
なお、講演会に先立って第9回中国研究会(座長 糠沢経団連常務理事)を開催し、中国の経済改革、税制改革をめぐる問題に関して意見交換した。

  1. 中国の経済改革
    彭森副司長講演要旨
  2. 1.改革・開放の成果
    16年間の改革・開放により生産力は大きく発展し、人々の積極性と創造性が引き出され、中国経済は飛躍的発展を遂げた。1978年から1994年の間に中国のGNPは年平均 9.4%の成長を遂げ、 4.2倍に増加した。1994年の総貿易額は2350億ドルに達したが、これは1978年の11倍であり、総貿易額の対GNP比も35%以上となっている。外資企業の対中投資は累計で21.5万件、 800億ドル余りにのぼる。国民の生活レベルも向上した。改革開放の16年間に農民収入は実質年率7%成長し、都市労働者の給与所得も年率5%の伸びを示している。

    2.1994年の改革と発展の成果
    昨年は改革と発展のチャレンジの年であり、十分な成果をあげることができた。昨年初めから、税財政、金融、外貨為替管理、貿易、価格・流通における改革を推進したが、国民経済は引き続き高い成長を遂げ、総合国力はレベル・アップし、社会は安定を維持した。GDPは対前年比11.8%増で4兆3800億元と4兆元を初めて突破した。食糧総生産は 4億4460万トンに達した。工業関連企業の収益は好転した。投資需要の伸び率は以前に比べ減少しており、投資構造に改善が見られる。固定資産投資は1兆6000億元と対前年比28.5%増となったが、これは前年の伸び率に比べ30%ポイント減である。消費も旺盛である。貿易は黒字に転じた。外貨準備高は年末には 500億ドルと年初の2倍以上に増加した。当面の問題は、インフレ、国有企業の経営難、農業の脆弱な基盤の克服である。

    3.社会主義市場経済体制の基本的枠組み
    中国は公有制と市場経済を統一しようという新経済体制の建設に着手している。その基本的な枠組みは、(1)企業経営メカニズムの転換と現代企業制度の確立、(2)全国統一の開放された市場体系の確立、(3)政府機能の転換と健全なマクロ経済コントロール体系の確立、(4)合理的な個人収入分配制度と社会保障制度の確立、(5)社会主義市場経済に適応した農業経済体制の確立、(6)対外開放地域・分野の更なる拡大、(7)科学技術体制・教育体制改革の促進、(8)法律制度建設の強化、の8分野である。
    中国の改革は経済発展を促進し、保証し、海外の投資家に更に多くのビジネス・チャンスを提供しよう。

  3. 中国の税制改革について
    史耀斌副処長講演要旨
  4. 1.改革前の中国税制
    改革前の税制は関税や農業税を含め40余りの税があったが、(1)不合理な税制構造、不公平な税負担、(2)国家と企業の分配関係の規範の不在、(3)地方税の税収規模が過少であること、(4)生産要素の市場化ニーズに税収コントロールの範囲と程度が適応不能、(5)国内企業に対する税制と外資企業に対する税制の矛盾、(6)税収法制体系の不備、といった問題が存在していた。

    2.中国税制改革の基本理念、基本原則および基本目標
    1994年1月1日から、中国は新しい増値増、消費税、営業税、企業所得税、土地増値増および個人所得税を施行し、税の種類を簡素化するとともに、徴税制度改革を実施した。
    工商税制の基本理念は、税法の統一化、税負担の公平化、税制の簡素化、合理的な分権化、合理的な分配関係、財政収入の確保であり、社会主義市場経済の求める税制体系の確立である。その原則は、(1)中央のマクロ面における管理能力の強化、(2)社会・経済発展の調整機能、経済構造の効果的調整、国民経済全体の効率向上と発展促進、(3)税の種類の簡素化、税制の規範化、である。税制改革の基本目標は流通税と所得税を主体とし、その他の税を組み合わせた税制体系の確立である。


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