日本イラン経済委員会(委員長 相川 賢太郎氏)/2月21日

イランの政治、経済、国際環境


経団連では、一時帰国中の小原大使を招き、最近のイランの政治、経済、国際環境について説明を聞くとともに懇談した。石油価格の低迷から貿易収支の悪化に直面し、対外的に債務決済の遅延問題が生じていたイラン経済にも好転の兆しが見えはじめ、支払遅延問題も解決の目処が立ちつつあるが、小原大使は「今年のイラン経済はトンネルの先にかすかな明かりが見え、半歩前進の年になる」との考えを披瀝した。
なお、日本イラン経済委員会では、本年3月からスタートするイランの第2次5カ年計画や外資政策等についてイラン政府関係者から説明を聞くセミナーを今春開催する予定である。

1.イランの政治情勢

イランに駐在して初めて理解できたのは
  1. 言論の自由が意外とあること、
  2. 非常に多様な意見を主張するグループが存在していること、
の2つである。
特に注目されるのは、宗教界、革命学生の2大グループに続いてテクノクラート層が育ち相応の力をつけてきていることである。
ラフサンジャニ政権が一時左右両派からの批判に晒されたが、最近では内外の問題に対する危機意識の高まりから現体制を守ろうとの求心力が働いている。他に対抗する政治家もなく、ラフサンジャニ政権は残された任期を全うするであろう。

2.イランの経済情勢

石油価格下落と外為管理上の問題から生じた支払遅延問題の対応にイラン政府は1993年から94年にかけて忙殺されたが、現在までに日本、ドイツなど主要債権国とリスケの合意ができている。輸入に関して適切な処理を行い、短期債務が長期債務より大きい現在の債務構造を転換し、第2次5カ年計画期間中の返済額を毎年平準化するならば、生活水準を維持しつつ、問題の適切な解決が可能であろう。

3.イランの国際環境

イランは身近な周辺国には細心かつ現実的な外交姿勢で接しているが、地理的に遠い国に対してはイスラムの原理、原則を声高に唱える傾向がある。中東和平に対して公然と批判しているのはイランだけであり、テロの問題と併せてアメリカの神経を逆撫でしている。アメリカで固定化したイランに対するイメージもなかなか改善されていない。アメリカは民間ベースの商取引をイランと行うことについて、これまで一言も触れたことはないが、イランに対する円借款の継続供与に関しては慎重な対応を日本政府に求めている。イラクの国際社会への復帰が議論されるようになった今日、イランを封じ込めたままにはできない。イランは封鎖によって行動を変えるような国であるとは思われない。


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