ミャンマー研究会(座長 春名和雄氏)/2月28日

民主化を進めるミャンマー


ミャンマーに投資する際の有利な条件として、(1)英語が通じる、(2)法律が整備されている、(3)首都ヤンゴンではインフラが比較的整っている、(4)労賃が安い、(5)ミャンマー人は真面目で技術の習得が速い、(6)資源が豊富である、(7)農業増産の余地が大きい、などが挙げられる。市場経済の経験を積みながら、着実な経済開発を進めるミャンマーの情勢について、ミャンマー駐在の田島高志大使から話を聞いた。

1.改善に向かう少数民族問題

135の少数民族を抱えるミャンマーでは1948年の独立以来、その一部が自治を求めて反政府活動を展開してきた。1988年に軍事政権が成立してから、和平の実現に努力しており、辺境地域の経済開発、民生の向上に取り組んでいる。その結果、これまでに13の少数民族との和平交渉が成立した。最近になりカレン民族同盟(KNU)の中の強硬派が放逐され、事態は最終的な局面に入っている。少数民族問題は、総じて改善の方向に向かっている。

2.民主化の課題

新憲法の制定と文民政権による統治の実現が最大の政治課題である。政党、国会議員、少数民族等の8つのグループ代表からなる国民会議において、新憲法の基本的事項が協議されており、これまでに大統領制、二院制議会、複数政党制などの基本原則が決定された。現在は自治区のあり方を中心に審議が続けられている。利害の衝突もあり、調整には多少時間がかかるだろうが、民主化は着実に進んでいる。

3.スー・チー女史問題のゆくえ

スー・チー女史の自宅軟禁が世界的な関心事項になっている。94年2月にリチャードソン米下院議員が同女史と面会し、同年9月にはタン・シュエSLORC(国家法律秩序回復評議会)議長兼首相、キン・ニュン第一書記との会談も実現した。この時の模様がテレビで放映されたが、突然の出来事であり、翌日の新聞には大きく取り上げられた。国民生活の安定、少数民族との関係改善が進み、騒動発生の可能性がなくなれば、同女史の軟禁も解かれることになろう。政治犯の釈放も徐々に進められている。

4.活発な経済活動と対外関係の緊密化

ミャンマーは外貨獲得のため、豊富な観光資源の開拓に積極的に取り組んでおり、最近は観光客も増えている。ミャンマーに乗り入れる航空各社の国際線も満席の状態である。ホテル建設をはじめ、道路、鉄道、空港、港湾などの整備事業が各地で進められており、街は建設ラッシュの状況である。また、アメリカ、イギリス、中国、香港、ドイツ、シンガポール、タイ、マレーシアなどの外国企業の進出も活発であり、最近は早い者勝ちの草刈り場的な様相を呈している。


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