新自由主義経済研究会第7回東富士フォーラム(進行 房野専務理事)/2月23日

転換期の今こそ有権者は発言を


新自由主義経済研究会では、わが国政治の今後のあり方について、企業の中堅幹部と議員、学者等との意見交換等を行なっている。今般は、経団連ゲストハウスに曽根泰教慶応義塾大学教授を招いてフォーラムを開催し、有権者の意識とサラリーマンの政治参加について話を聞くとともに懇談した。曽根教授は「まだ有権者に戦略はないが、新しい選挙制度の下で、政界再編をリードすることは可能である」などと述べた。以下はその要旨である。

  1. 従来、有権者、特に自民党の支持者は、政権の維持を前提に、問題があれば灸を据えるに過ぎなかった。しかし小選挙区制の下では、失政があれば政権を交代させることが可能である。
    加えて、今後、経済成長が前提でなくなれば、責任と負担が明確になり、その分担のあり方が政治に問われることになろう。

  2. 有権者は腐敗や政権闘争にしらけており、政治の信頼回復が求められているが、官僚を含め、政策構想力は決定的に低下しており、危機的状況にある。
    政治改革も、国民には、政治家による、政治家のためのものに見える。期待した細川内閣には裏切られ、受け皿もない。新しい選挙制度の下でも政治家の行動は変わっていない。

  3. しかし、有権者の過半数が支持なしであるいま、政治家自身もこれまでの後援会政治の拡大に自信を持てずにいる。有権者が政治家に、従来型の政治が通用しないことを突きつけ、政策本位で緊張関係のある政治へと変えるチャンスである。

  4. 政界再編は、re-alignment(ある争点をめぐる有権者の意識構造の転換)という意味があり、政治構造の大きな転換期となり得る。
    しかし、1月に中央調査社が行なった世論調査では、有権者は改革推進に賛成する一方で安定を重視し、規制緩和・行革推進を支持しつつ競争においては弱者保護を、成長よりは生活重視を、市場原則よりは行政介入を支持するという傾向があり、新たな対抗軸があるかどうかは疑問である。

  5. ボランティアやNGOが根づきつつある一方で、本来ボランティアであるはずの政党、労組、経済団体等は拒絶される傾向にある。
    今回の震災でも、行政が機能しなかったのに対し、ゲリラ型ネットワークであるボランティアが活躍した。今後は、いかにこの乖離を収斂させるかがキーポイントである。

  6. 制度が変わり、政治家が何をやってよいのか分からない今こそ、有権者も労組も経済団体も発言すべきである。


日本語のホームページへ