第24回中国地方経済懇談会/3月1日

大震災を教訓にした国土づくりを


経団連は、中国経済連合会と共催により、標記経済懇談会を広島市において開催した。「活力と創造性あふれる経済社会を目指して」を基本テーマに、中国地方経済の現状と課題、地方分権と規制緩和の推進、均衡ある国土の発展と地域経済の活性化について意見交換した。当日は、中国側から松谷会長ら地元経済人約230名が、経団連からは豊田会長、川勝・歌田・久米・鈴木・米倉・関本・青井・伊藤の各副会長が出席した。

  1. 開会挨拶
  2. 松谷 健一郎氏

    中国経済連合会会長
    中国電力会長

    松谷 中国経済連合会会長

    中国地方の景気はまだ回復への足取りは重い。特に、阪神大震災は、中国地方にも人と物の流れに大きな影響を及ぼし、大動脈が大都市圏に集中したわが国国土の脆弱性を露呈した。そうした中で、日本海国土軸、太平洋新国土軸などを想定した多重型国土軸がクローズアップされている。
    加えて、地震発生後の行政の対応の遅さは、日本の行政システムの硬直性の表れであり、今後は、国と地方の役割を明らかにし、地方分権を進めていかねばならない。

  3. 中国地方における阪神大震災の影響と新国土軸の形成
  4. 深野 和夫氏

    中国経済連合会副会長
    山陰合同銀行会長

    阪神大震災は、中国地方の経済に大きな影響を及ぼしている。中国経連の震災に関するアンケート調査では77%の企業が「影響がある」と答えている。特に物流・交通機能の停止による影響が一番深刻であり、材料の入荷、製品の生産、出荷に支障をきたしている。
    今回の震災の教訓として、セキュリティ面から諸機能を地方に分散することが必要であり、首都圏や京阪神の大都市を経由しない国土軸として、日本海国土軸の形成の重要性が高まったといえる。

  5. 活力と創造性にあふれる経済社会を目指して
    1. 中国地方経済の現状と課題
    2. 篠原 康次郎氏

      中国経済連合会副会長
      広島総合銀行会長

      阪神大震災により、中国地方の景気回復に水を差すことが懸念されている。
      中国地方経済の課題は、まず地方中枢・中核都市圏を整備強化することである。具体的には、広島を地方中核都市とし、同時に国際都市として整備すべきである。
      その他、中国地方は製造業を中心とした第2次産業の比率が高く、円高や貿易摩擦の影響を受けやすい等の弱点があり、産業構造の高度化が必要である。
      当面は、円高や産業空洞化への対応、景気対策等、政府の機動的総合経済対策が望まれる。

    3. 地方分権と規制緩和の推進
    4. 米原 正博氏

      中国経済連合会副会長
      鳥取大丸社長

      中国経連のアンケートでは、98%の企業が規制緩和を望んでいる。その推進のためには、3月末策定の「規制緩和推進5カ年計画」のフォローアップが重要である。
      地方分権を推進するためには、国の役割を防衛等に限定し、21世紀までに実現する決意が必要である。同時に現行の行政システムを改め、思い切った規制緩和を行い、官主導・中央集権型から、民主導・地方分権型に抜本的に改革する必要がある。
      更に、市町村合併により地方分権の受入れ体制を整備・充実すべきである。

  6. 均衡ある国土の発展と地域の活性化
    1. 産業構造の転換と創造性ある人材の育成
    2. 西田 陽太郎氏

      中国経済連合会副会長
      宇部興産専務取締役

      中国地方は、最近の急激な円高の進行で、産業の空洞化が懸念されている。
      国地方経済の活性化のためには、研究開発機能の整備や先端技術の導入・育成等を進め、産業構造を転換する必要がある。また、地域振興の基盤となる創造性豊かな人材を育成することも重要な課題である。
      中国経連では、95年度に、産・学・官の共同研究推進のために「共同研究開発検討委員会」の設置を計画するなど、研究開発や技術開発を軸とした地域振興に向けた、さまざまな取組みを行っている。

    3. 広域経済文化交流圏構想の推進
    4. 伊原木 一衛氏

      中国経済連合会副会長
      天満屋社長

      中国地方の自律的な発展を促進するためには、近隣地域やアジア諸国も含めた広域的な経済文化交流圏の形成が必要である。
      なかでも、四国との連携・強化が重要である。中・四国を併せると、その人口は、東海、東北、九州地域に匹敵する約1200万人に達することから、市場規模の拡大や経済的な循環性の向上、促進が期待される。
      広域経済文化圏の形成のためには、第一国土軸の高度化・増強や中四国横断連携軸の整備等に資する交通基盤の整備が必要である。また、広域経済文化圏の中核的地域となる瀬戸内海地域の諸機能を強化する必要がある。


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