競争政策委員会(委員長 弓倉 礼一氏)/3月13日

持株会社解禁へ向けて始動


競争政策委員会では、通産省産業政策局長の私的諮問機関である企業法制研究会の報告書「純粋持株会社規制および大規模会社の株式保有規制の見直しの提言」について、同研究会の座長を務めた成蹊大学松下満雄教授を招き説明を聴き懇談した。
また、持株会社解禁に向けて、(1)規制緩和推進計画に本問題が取り上げられるよう全力で働きかける、(2)経団連として関連法制を含めた検討に着手する、等を決めた。
以下は、松下教授の説明の概要である。

  1. 純粋持株会社規制の見直し
  2. 独占禁止法第9条は、純粋持株会社を、競争を実質的に制限するものであるか否かを問わず一律に禁止しているが、このような規制は欧米諸国には例を見ない。
    規制緩和、経済制度の国際的ハーモナイゼーション、新規事業創出のための環境整備等から、純粋持株会社の一律的禁止の見直しが求められている。
    独占禁止法が目的に掲げる「事業支配力の過度の集中の防止」自体は、経済民主主義の理念として評価し得る。しかし、この基本理念に基づきいかなる具体的規制が必要であるかは、その時々の政治・経済の状況を踏まえて決められるべきものである。
    純粋持株会社の一律的禁止は、次のような点から合理的根拠を失っており、これを解禁すべきである。

    1. 民主的政治システムの定着により、資金が豊富というだけで大企業が政治的に有利とは言いがたい。弊害が生じれば、政治資金規制等の問題として処理すべきである。
    2. 事業力の格差は、大規模企業が享受する規模の経済性であり、競争制限行為ではない。弊害があれば独禁法等により、別途厳格に規制すれば良い。
    3. 企業結合を強化することによる競争制限的な効果が懸念される場合にも、他の規制で対処すれば十分である。
    4. 外国企業に対しては国内で1社のみを支配するものであれば純粋持株会社が認められている等、運用上も矛盾が表れている。
    5. 持株会社によって、効率的企業組織や円滑な人事・労務管理の実現、新規事業の振興、さらには消費者の利益の増進および雇用の拡大などが図られる。

  3. 大規模会社の株式保有規制の見直し
  4. 独占禁止法第9条の2は、第9条の補完規制であり、同様に廃止すべきである。また、規制対象となる会社の範囲の見直しを直ちに行うべきである。

  5. 政府としての検討を
  6. 純粋持株会社規制、大規模会社の株式保有規制の見直しに向けて、政府として各界の意見を聴取しつつ検討し、早急に結論を出すべきである。


日本語のホームページへ