第104回景気動向専門部会(司会 遠藤理財部長)/3月3日

先行きに対する不透明感は依然として強い


景気動向専門部会では、最近の経済動向について、関係省庁ならびに日本銀行から説明を聞くとともに、景気の回復力を中心に意見交換を行なった。日銀短観では、景気は緩やかな回復過程にあるとの見方が示されたが、円高、不良債権問題、株式市場の低迷など懸念材料があり、先行きに対する不透明感が依然として強い。

  1. 経営者は景気の回復を実感できず
    1. 日銀短観(2月)における主要企業の業況判断は、素材業種を中心に、製造業において改善が続く一方で、非製造業については阪神・淡路大震災の影響もあり、特に小売、運輸、サービスの業況が悪化し、改善が一服した。中小企業においても、製造業の改善は小幅に止まり、また、非製造業についても1年3カ月ぶりに業況が悪化した。
    2. 日銀短観において、平成7年度の主要企業の売上高経常利益率は3.35%となり、円高不況のボトム(3.20%)程度にすぎない。この水準の低さが、経営者が景気回復を実感できない大きな原因となっている。

  2. さらなる円高を懸念
  3. アメリカでは、債券相場は堅調に推移し、株価の水準も高い。一方、日本では、株式市場の低迷のなかで、急激な円高が進んでいる。当面、円高圧力が強いと予想されるため、景気への影響が懸念される。

  4. 株式市場は危機的状況
    1. 株式市場は、危機的状況にある。(1)外国人投資家による日本株の売却、(2)わが国企業の決算期末を控えた益出売却、など需給的な要因から株価の下押し圧力が強い。
    2. 東京協和、安全の両信用組合問題ならびに住宅金融専門会社の不良債権問題に伴う金融システムに対する不安感も株価の下落要因である。
    3. 今後の株式市場を見る上で、外国人投資家の動向が注目される。アメリカ国内の金利上昇を背景に、外国人投資家によるアメリカへの資金シフトが本格化した場合には、わが国の株価が下落し、景気も悪化していく惧れがある

  5. 設備投資の水準は依然として低い
    1. 日銀短観における平成7年度の設備投資計画では、主要企業は製造業(前年度比 ▲1.7 %)、非製造業(同▲0.7 %)となり、ともにマイナス幅が縮小し、概ね前年度水準並みの計画となっていることから、設備投資は下げ止まったとみられる。
    2. 機械受注統計の民需(船舶・電力を除く)は10〜12月期前期比2.8 %、95年1〜3月期の見通しは同 5.3%と、4年振りに2期連続してプラスが見込まれており、緩やかに上昇している。
    3. 94年度の工作機械の受注状況は、内需、外需あわせて前年比7%増となり、4年振りにプラスとなったものの、設備投資が本格的に回復しているという実感はない。


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