ヨーロッパ委員会(進行 樋口共同委員長)/3月22日

日欧関係強化のために対話、協力の促進を


欧州委員会では規制緩和推進5カ年計画に対して駐日代表部が9分野 160項目の規制緩和要望を提出している。また、対日政策の再構築の一環として同政策に関する報告書を本年3月にとりまとめた。そこで、ケック駐日欧州委員会代表部代表大使から今後の対日政策、規制緩和要望などを中心に説明を受けた。大使からは対話による相互理解を基盤に日欧関係を深化させることが重要であるとの発言があった。以下は、ケック大使の発言概要である。

欧州委員会では3月8日に対日政策に関する報告書「欧州と日本−次のステップへ」を取りまとめた。これは92年に発表した報告書を、その後の日欧双方における変化に対応して見直したものである。特に日本では政権交代、冷戦終焉による日本の国際社会における政治的役割の向上などの政治的変化やバブルの崩壊、急激な円高などによる日本経済のグローバル化、産業の空洞化などの大きな変化がみられた。欧州でも域内市場の拡大、共通外交政策へのコミットなどに変化が生じており、欧州委員会は対日政策を再構築する必要があった。
今回の報告書では政治的には対話や協力によって日欧が同盟国として理解し合うことが重要であることを指摘している。また、欧州委員会は日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りを支持する姿勢をとっている。さらに、貿易と経済的協力の分野では協調的な対日アプローチの継続を主張している。
現在の日・EU関係に懸念する材料はないが、莫大な欧州の対日赤字が存在しているのも確かである。したがって欧州企業にとって困難な日本市場へのアクセスを改善することが必要である。欧州の対日貿易赤字は米国を上回るペースで減少しているが、一方で欧州には日本の対米偏重に対する懸念がある。こうした欧州の懸念に対して、日本政府は調達に際して民間企業が政治的判断を行わないことを期待する旨の声明を発表しており、日米包括経済協議において最恵国待遇であるかどうかをモニターすることに合意していることを評価している。
また、日本を無視した欧州のアジア戦略は存在しない。欧州企業の対日直接投資を促進するとともに日本の対欧投資誘致を図っていくことが必要である。
最後に日本の規制緩和推進5カ年計画策定に際して駐日代表部は9分野 160項目の要望を提出している。日本政府が3月10日に発表した中間報告は透明性向上のための試みとして評価するが、政府調達、情報通信、建設・医療機器、農業分野での措置は不十分であり、失望している。規制緩和は日本国民の福祉向上のために実行していくものであり、できることを確実に実施していくことが大切である。したがって政府間で交渉するものではないと考えている。


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