広報委員会拡大幹事会(座長 澁谷高允氏)/3月17日〜18日

在日外国人記者の見る日本の報道環境


広報委員会幹事会では、広報委員会の今後の活動の参考にするため、会員企業の広報関係者の参加を得て拡大幹事会を開催した。
第1セッションでは、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン東京支局長のスティーブン・ブラル氏を招き、在日外国人記者の見る日本の報道環境などにつき意見を聞いた(概要下記)。
なお第2セッションでは、阪神大震災に関する企業および広報担当者の対応と今後の危機管理のあり方などにつき懇談した。

  
澁谷高允座長 スティーブン・ブラル氏

1.日本のメディアの体質の問題

日本は世界第2位の、外国人記者にとっても働きがいのある経済大国である。在日外国報道機関は、一次情報の大部分を、日本の報道機関から収集し報道しているが、正確かつ網羅的な情報がないために、記者、ひいては世界が、日本についての情報不足と誤解に悩まされている。この状況の是正を図ることは日本にとっての利益にもつながる。
また、日本の新聞の分析能力は、世界の標準からみて、満足すべきものではない。有力新聞に掲載されている記事は、その大部分が生情報そのものの転載で、分析記事や関連特集記事はほとんどない。

2.記者クラブ制度の問題点

記者クラブ制度は、関係者には大変便利なものであろうが、このシステムには、ジャーナリストがニュースの作り手のために働くようになる危険性がある。そのため、報道される内容について、情報提供者がコントロールすることが容易になる。また日本の記者が、情報提供者を批判せずに安易に報道することの一因にもなっている。

3.外国人記者が見る企業広報

今日、日本の経済社会は、地球の未来を左右するまでの規模になっており、日本政府と日本企業の活動は、国内で完結し得ない。世界は、日本の企業動向について、迅速で、明確な情報の公開を求めている。われわれ外国人記者は、この期待に応えるため、各企業が日本の記者に配付している情報を、同時にいただきたい。
外国報道機関との良い関係を保持する必要性を認識している日本企業も最近増えてきたが、多くの企業は、いまだにこの必要性を認識できずにいる。
われわれ外国人記者は、より頻繁に役員の方々とのインタビューを希望している。欲しいのは、わかりやすい説明だ。また役員の方々と、電話で直接話す機会が増えることも望んでいる。厳しい締め切りが迫っているときに、意志決定者と、10分でも15分でも話をする機会が得られれば、記事は活き活きとし、読者に感動を与える。
こうした記事により、われわれは、顔がないと言われる日本の企業のイメージ作りにも貢献できる。

4.未来への備え

われわれ外国人記者が求めている情報は、世界が日本に対して求めている情報だ。
そこで個人的な提案だが、日本企業の広報担当者は、もっと外国人記者との関係を緊密にし、われわれが求めているものを理解するよう努力してはどうか。
企業情報の公開についても、もっと積極的に考えてはどうか。これにより海外での企業イメージ向上が期待できる。また、いつの日か、日本の記者が、現在ほど企業に理解を示さなくなった時に向けての備えにもなる。


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