外資系企業の環境改善に関する部会(部会長 竹中 誉氏)/3月30日

輸入促進地域の投資事業者への優遇措置の拡充が重要


政府では輸入・対日投資促進策として、92年7月の「輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法(輸入・対内投資促進法)」に基づき、輸入促進地域(FAZ)を設定しているが、現在96年5月の廃止期限に向け、存続を含めたFAZの機能の見直しが行われている。
そこで、当部会でも対日投資促進策の一環としてFAZの機能拡充を検討するため、通産省輸入課の新原総括班長を招き、FAZの機能や今後の課題について説明を受けた。以下はその概要である。

1.FAZの仕組みについて

港湾、空港の周辺にある輸入関連インフラの整備を図ることを目的に、現在までに横浜、大阪など18地域がFAZに指定されている。FAZに関する政府の助成策には、輸入関連施設を整備する第三セクターに対する
  1. 産業基盤整備基金による出資および債務保証、
  2. 固定資産税等の不均一課税に伴う減収補填措置、
  3. 地方債への配慮、
  4. 総合保税地域制度、
  5. 新規民活施設の追加、
などがある。しかし、FAZを利用する事業者向けの措置は、中小企業信用保険の特例と産業基盤整備基金による債務保証に限られている。

2.FAZの今後の課題について

FAZを利用する事業者の利便性向上のため、関税法改正によってアメリカなどのフリー・トレード・ゾーン(FTZ)に対応した総合保税地域制度が創設されている。既存の保税地域は保税倉庫、保税工場、保税展示場等の個々の施設を指定しているため、貨物を保税扱いのまま移動するためには保税運送の許可が必要である。
総合保税地域は輸入インフラを集積した地域全体を指定するため、外国貨物の地域内各施設間の移動が自由に行える。そのため、事業者は総合保税地域外へ外国貨物を搬出するまで関税、消費税などの間接税の納付が留保されるなどのメリットがある。
しかし、総合保税地域の指定には、
  1. 一団の土地・施設であること、
  2. 加工・展示・倉庫施設があること、
などの厳しい要件があり、現在大阪市のアジア太平洋トレード・センター(APC)のみの指定にとどまっている。総合保税地域に対する要望も強いため、こうした要件の緩和も検討対象となろう
輸入・対内投資促進法は96年5月に廃止されることになっているが、関係省庁では今後のFAZに関する対応を検討している。さらなる輸入関連インフラ整備も必要であるが、法が目的とする輸入・対日投資の拡大のためには、事業者に対する優遇措置を拡充して、FAZの運営支援を行なっていくことが重要である。そのため、民間の投資事業者からも意見を聞いて検討していきたい。


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