競争政策委員会(委員長 弓倉礼一氏)/4月11日

事業者団体の活動に関する新ガイドライン案について、公正取引委員会と意見交換


4月3日に、公正取引委員会より「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」(以下ガイドライン)改定原案が公表されたのを受け、公正取引委員会経済部団体課長の小川秀樹氏を招いて、ガイドライン改定原案についての説明会を開催した。(下記説明概要)
なお、経団連では、公正取引委員会より、正式に意見提出を求められているので、本ガイドライン改定原案について意見・要望があれば、5月8日までに事務局(産業政策部)宛お寄せいただきたい。

  1. ガイドライン改定の背景
  2. (1) ガイドライン改定の経緯
    1979年8月に、現行の事業者団体ガイドラインが策定・公表されて以来の社会・経済環境の著しい変化に伴い、独禁法に関わる多くの新たな問題が生じてきた
    そこで、およそ16年ぶりに、それらに対する公正取引委員会の基本的な考え方を示すために、現行ガイドラインを改定することとした。公正取引委員会では、関係団体・省庁・諸外国政府からのコメントを受け、年内に最終的なガイドラインを公表する予定である。

    (2) ガイドラインの策定趣旨
    本ガイドラインは、事業者団体の活動が広範であり、かつ、その事業者の活動に与える影響が大きいことから、事業者団体による独禁法違反行為の未然防止を図り、その適正な活動に役立てることを目的とするものである。

  3. ガイドライン改定原案の構成
  4. 現行ガイドラインと同様に、第1で独禁法上事業者団体に禁止されている行為、違反行為に対する措置、また、事業者団体の届出制度や適用除外制度等についての、独禁法上の規定について概説している。
    続いて第2では、これまでの公正取引委員会の運用に基づいて、事業者団体の実際の活動に即して、主要な活動類型ごとに参考例を挙げ、さらにそれらを
    1. 原則として独禁法に違反する行為(クロ)、
    2. 違反となるおそれがある行為(灰色)、
    3. 原則として違反とならない行為(シロ)
    に分類して提示している。

  5. 主要な改定ポイント
  6. (1) 公的規制・行政に関連する行為
    事業者に対する公的規制は、社会目的や市場メカニズムが有効に機能しない商品・役務についての資源配分適正化の目的の下に設定されているが、一方で、事業者の事業活動を制限することにより、事業者間の競争に対して一定の制約を加える効果を持つものである。したがって、行政機関からの業務の委託や行政指導を受けた事業者団体の行為によって、事業者間の競争が制限されたり、差別的取扱いが行われることのないよう、以下のような行為類型を列挙し、それらの独禁法上の問題点について示している。
    1. 許認可・届出等に関連する制限行為
    2. 公的規制分野において規制されていない事項に係る制限行為
    3. 公的業務の委託等に関連する行為
    4. 行政指導により誘発された行為
    5. 入札談合
    6. 国、地方公共団体等に対する要望又は意見の表明

    (2) 参入制限行為
    近年、諸外国から指摘を受けている市場開放、マーケット・アクセスの必要性とも深く関わる問題である。事業者団体の活動によって、事業者の新規参入が制限されたり、特定の事業者が排除されることは独禁法上許されない。例えば、非構成事業者に対する商品や役務の供給制限や、それらの業者が供給する商品や役務の取扱い制限、または、団体に加入しなければ事業活動を行うことが困難である場合の、団体への不当な加入制限や除名等の行為が独禁法上問題となりうる。

    (3) 自主規制
    商品または役務の種類・品質・規格、もしくは営業の種類・内容・方法等は事業者間の競争手段であり、事業者団体がこれらに関して自主規制を行ったり、自主認証・自主規格認定を定めたりすることによって、競争が阻害される可能性がある。自主規制等の競争阻害性は、
    1. 競争手段を制限し、需要者の利益を不当に害するものではないか
    2. 事業者間で不当に差別的ではないかの判断基準に照らし
    3. 社会公共的な目的等正当な目的に基づいて合理的に必要とされる範囲内のものか
    の要素を勘案しつつ判断される。
    また、自主規制等の遵守・利用については、構成事業者の任意の判断に委ねられるべきであって、事業者団体がそれを強制することは許されない。同時に、自主認証・認定等を受けなければ事業活動が困難になる状況において、構成事業者であるか非構成事業者であるかを問わず、その利用を正当な理由なく制限することも独禁法上問題となるおそれがある。

    (4) 独禁法第3条および第19条の適用
    独禁法は、事業者による反競争的行為の禁止規定が中心となっており、従来、事業者団体に対しては独禁法第8条による規制が通常行われてきた。しかし、不当な取引制限(第3条)や不公正な取引方法(第19条)と事業者団体の活動が密接に絡み合う事例が増えてきており、独禁法違反行為の未然防止のために、事業者団体に対しても直接第3条、第19条を適用していくこととした。


事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針(ガイドライン)改定原案〔目次〕

はじめに
第1
事業者団体の活動に関する独占禁止法の規定の概要
第2
事業者団体の実際の活動と独占禁止法
  1. 価格制限行為
  2. 数量制限行為
  3. 顧客,販路等の制限行為
  4. 設備又は技術の制限行為
  5. 参入制限行為等
  6. 不公正な取引方法
  7. 種類,品質,規格等に関する行為
  8. 営業の種類,内容,方法等に関する行為
  9. 情報活動
  10. 経営指導
  11. 共同事業
  12. 公的規制,行政等に関連する行為
(付) 事業者団体の活動に関する事前相談制度について

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