環境安全委員会(委員長 関本忠弘氏)/4月14日

地球温暖化対策を討議する気候変動枠組み条約第1回締約会議の模様について聞く


地球温暖化防止にむけてリオの地球サミットで成立した気候変動枠組み条約の第1回締約国会議が、さる3月28日から4月7日まで、150か国より政府、NGO関係者など4000人が参加してベルリンで開催された。2000年以降の温室効果ガスの排出抑制目標を1997年までに決定することを定めたベルリン・マンデートの採択や共同実施の実質的な推進などで合意に達した。同会議に参加した通産省の塚本弘審議官から、会議の模様について聞いた。(以下概要)

  1. ベルリン・マンデートの採択
    1. 2005年、2010年、2020年などの長期も含む時間的枠組みで、数量化された温室効果ガスの排出抑制および削減にかかわる目的(Objectives)を定めること
    2. 途上国に対し、先進国と同様の義務は新たに求めないが、現行条約の約束の実施をより一層向上すること
    などについて1997年の第3回締約国会議までに検討を終えると定めたベルリン・マンデートを採択した。
    第1項については先進国の間でも「抑制」か「削減」かで議論が分かれた。欧州は「削減」を含めることを主張したが、日・米などは現実的な対応を主張した。結局、「抑制および削減」となり、対象とする期間は2020年までと、技術進歩も期待できるやや長期の期間とした。
    第2項については、2010年になると途上国の排出量を先進国が上回ることが予想されており、途上国の取り組みを促すよう、途上国も含めていろいろな施策を「一層向上すること」と合意された意味は大きい。
    この7月に検討グループを設置し、本マンデートにおける検討項目について議論を進め、97年3月までにまとめることとしている。

  2. 共同実施の推進
  3. 温室効果ガス排出抑制対策の共同実施については、今後5年間かけてボランタリーベースで試験的に実施することで合意された。
    条約に定めた「共同実施」ではなく「共同実施活動」とすることになり、玉虫色ではあるが、途上国と先進国が実質的に共同実施を進めることで合意したことは世界全体での温暖化対策の取組みを促進するものであり、画期的である。しかし、2000年以降にパイロットフェーズが終了した後のクレジット(どの国の成果とするのか)の問題は先送りになった。

  4. その他
    1. OECD/IEA24か国は、気候変動問題に対応するための技術開発、移転・普及プロジェクトである「気候変動技術イニシアチブ」に着手することになった。
    2. 気候変動枠組み条約の事務局はボンに設置される。
    3. 日本の提案通り、第3回締約国会議は日本で開催される見込みである。


日本語のホームページへ