なびげーたー

国際感覚豊かな人材の育成をめざして

社会貢献部長 安斎 洋一


国際理解教育とか、異文化理解ということが言われて久しいが、それは多くの国の若者が共に学ぶ中から身についてくるように思われる。

世界60〜70カ国から250名ほどの高校生が集まって、2年間寄宿舎を共にし、教育を受けるUWC(United World Colleges)という国際高校がある。UWCでは、巧まずして自立心に富んだ、国際性豊かな、地球時代の若者が数多く育っている。

この魅力的な教育制度を有するUWCの本部はロンドンにあり、最初のカレッジは1962年にイギリスに開設された。その後、カナダ(1974年)、シンガポール(1975年)、スワジランド(1981年)、イタリア(1982年)、アメリカ(1982年)、ベネズエラ(1988年)、香港(1992年)、ノルウェー(1994年)にUWC校が開設され、1997年には、インド校が開校の予定である。

日本からは、1972年にはじめてイギリスのUWC校に奨学生を派遣した。以来、今日までに、イギリス、カナダ、シンガポール、イタリア、アメリカ、香港と派遣先を拡大し、約300名の高校2年生に2年間の留学機会を提供してきた。

奨学生の募集や選考は、社団法人 ユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会が行なっており、事務局は経団連の社会貢献部が担当している。1978年に2代目のUWC日本協会会長に就任したソニーのファウンダー名誉会長盛田昭夫氏の情熱と80社を越える会員の資金的な支援によって、日本の若者を毎年海外に送り続けてきた。

UWCの教育は、世界の多くの大学で入学資格として認められている国際バカロレア(International Baccalaureate=IB)のカリキュラムにもとづいており、生徒はIB取得のために懸命の努力を重ねる。授業は少人数のクラスで行われ、活発な討論を交えた密度の濃いものであり、取り上げられる問題も国際的なものが多い。一方、IBのプログラムの一環として、社会への奉仕活動が通常週2回義務づけられており、責任感や仲間同志の友情を育て、地域社会との交流を深める上で役立っている。

UWC日本協会では、全国から応募のあった186名の高校生について、4月のはじめに筆記試験(国語、英語、数学)と面接試験(日本語、英語、グループ・ディスカッション)を行ない、1995年度派遣奨学生として15名を選考した。

これらの奨学生は、9月からの2年間のUWCでの生活を通じて、学ぶことの厳しさ、楽しさを経験し、各国からやってくる仲間との触れ合いの中から多くのことを学んでゆく。経団連が重視している創造的な人材の育成にもつながるユナイテッド・ワールド・カレッジに対する会員の皆様方のより一層のご理解とご支援を賜れば幸いである。


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