第536回常任理事会(議長 豊田会長)/5月9日

当面の経済政策について、自民党加藤政調会長、飯田行政改革委員長と懇談


第536回理事会では、科学技術の振興、規制緩和など、当面の経済政策について、自民党の加藤政調会長と意見交換するとともに、飯田行政改革委員長より、最近の行政改革委員会の活動について聞いた。

1.当面の経済政策について

  1. 加藤政調会長説明要旨
  2. (1) 大きな夢のない国、日本
    当面の経済政策も重要であるが、それ以上に大切なことは、将来に対するヴィジョンをきちんと描くことである。経済や社会に元気がでるようにするためには、ヴィジョンが必要である。
    わが国は、欧米にキャッチ・アップしたと言われているが、それは誤りである。ストック面では、決して豊かとは言えないし、アポロ計画に見られたような大きな夢も日本には存在しない。ストックの充実を図るとともに、日本自身の夢をつくり出していく必要がある。

    (2) 求められる科学技術の振興
    こうした観点から、特に力を注ぐべきは、科学技術の振興である。今年度予算においても、一般歳出の伸びは1%にすぎないが科学技術分野は 7.5%の伸びを確保した。また、今般公表された補正予算をあわせると前年度比32.5%の伸びとなる。円高による空洞化を回避するためにも、技術力の向上とシーズの発掘が求められる。

    (3) 規制緩和と政治のリーダーシップ
    さらには、社会のシステムをより自由なものにしていくことも大切であり、そのためには、規制緩和が必要である。しかし、規制緩和について反対の声は挙がるが、これを進めようという人は少ない。規制緩和の実現は、政治家の力にかかっている。
    目標喪失感に見舞われている時は、政治家が道をつけ、世の中を引っ張らなければならない。行政の取組みは、7〜8割は正しいが、残りの1〜2割は、必ずしもそうとは言えない。政治家は、なにが改めるべき1〜2割かを正しく見極めなければならない。そのためにも、経済界からも情報を提供して欲しい。

    (4) 財政赤字をどう考えるか
    今後は、210兆円の財政赤字の問題をどう捉えるか、すなわち、公的年金の黒字と、別々に考えるべきか、いっしょに捉えるべきか、検討していきたい。

    (5) 日本を明るい国に
    わが国を午後3時であると言う人がいるが、決してそうは思わない。一仕事も、二仕事もできる国である。日本を午前10時のような明るい国にしていきたい。

  3. 経団連側発言
  4. (1) 円高緊急対策の実行を
    円高緊急対策の具体的な実行が重要であり、新しい社会資本の整備、規制緩和を進めていく必要がある。

    (2) 証券市場の活性化のために
    証券市場の活性化のためには、経済界としても、株主への利益還元、投資単位の引下げなど、個人投資家を引きつけるための努力が必要であるが、あわせて、みなし配当課税や有価証券取引税の撤廃も必要である。

    (3) 科学技術振興に向けて
    科学技術の研究・開発を、総合的かつ計画的に推進していくことは重要であり、科学技術基本法を、今国会において制定させる必要がある。

    (4) 規制緩和推進計画のさらなる拡充を求む
    規制緩和推進計画を3年に前倒ししたことは高く評価できる。今後とも、内容の具体化、計画のさらなる拡充が必要である。

  5. 加藤政調会長からのコメント
    1. 規制緩和については、総論賛成、各論反対である。規制緩和を進めるためには、さらなる強力な取り組みが求められる。
    2. 科学技術基本法は、今国会で成立させたい。また、関連して、ポストドクターの支援策の大幅な拡充も大切であると考えている。
    3. 有価証券取引税の撤廃についても考えていきたい。

2.行政改革委員会の最近の活動について
  − 飯田行政改革委員長説明要旨 −

(1) 活動とスケジュール
現在、行政改革委員会の下に、規制緩和小委員会と、情報公開部会を設置して、検討を進めている。
規制緩和推進計画は、毎年、見直していくので、委員会の解散までに、最低3回は、首相に意見具申を行なっていきたい。本年は、9月〜10月に、規制緩和小委員会の報告を取りまとめたい。

(2) 国民のための規制緩和を
規制緩和は、国民に理解されていない。内外価格差が縮小し、暮らしが豊かになるという生活に密着した規制緩和の具体例を示していきたい。
国民から直接意見を聞くために、FAXを設置するとともに、はがき、手紙も受け付けている。真面目な意見が多く寄せられている。
国民との対話の場として、地方公聴会も実施することとしている。公聴会の効果については疑問視する見方もあるが、今回は、公聴会で出された意見は、直接、首相に手渡しする。

(3) 情報公開法の制定に取り組む
情報公開部会では、現在、週1回のペースで行政法の専門家等による議論を行なっている。来年の12月までには、法律の形にして首相に答申したい。


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