ルィプキン・ロシア連邦国家会議下院議長一行との懇談会/4月28日

日ロ両国の経済力にふさわしい協力を


日本ロシア経済委員会は、土井衆議院議長の招待で来日中のルィプキン・ロシア連邦国家会議下院議長一行を招き、懇談会を開催した。豊田経団連会長の開会挨拶に続いて、河毛委員長が、ロシアの政局や経済関連法規の整備状況等、日本側の関心事項を述べた。ロシア側は、それを受ける形で現状説明を行い、今後の展望を語った。以下は各発言要旨である。

1.豊田会長挨拶要旨

日ロ経済関係には、なかなか改善の兆しが見えないようである。しかし、昨年秋のソスコヴェッツ第一副首相来日の折りに政府間貿易経済委員会の設置が合意され、また、その直前に河毛委員長が訪ロし、要路の方々と意見交換するなど、官民を上げて関係活性化への努力が積み重ねられていると聞いている。
経団連としても、日ロ経済委員会を通じ、政府間委員会とも協力して、今後とも両国経済関係の改善に努力する所存である。

2.河毛委員長発言要旨

昨年11月末のモスクワ訪問時には、ルィプキン議長はじめ要路の方々と率直な意見交換ができて、有意義であった。
本日は、以下に挙げる日本側の関心事項を中心に、最近の情勢や見通しを伺いたい。
  1. 年末の議会改選、来年の大統領選挙を控えたロシアの政局
  2. 日ロ経済交流を阻害する諸問題の解決見通し
具体的には、貿易債権の処理、第4次森林資源開発契約の早期実現、各種経済関連法規(投資、外国貿易、経済特区、生産分与、中央と地方との権限分化等)の整備である。こうした法律が整備されれば、長期的な観点から経済交流を考えることが可能になる。特に、生産分与法は、夏前に成立すれば、サハリン・プロジェクトの今年中の試掘が可能となるので、早期実現を希望する。

3.ロシア側発言要旨

1.ルィプキン議長

議会改選も大統領選も予定通り行われる。日本との関係は、政府や議会の顔ぶれが変わっても、重要であるという認識は変わらない。経済政策の継承性も維持されていくものと確信する。
現在ロシアでは、所有および経営形態の多様化が進んでいる。民営部門が急速に増えており、外国企業の投資環境は改善されつつある。
日ロ経済関係は好ましい方向へ向かっているが、まだ双方の経済力に見合っていない。両国間に、対日債務やロシアの法律未整備を含む未解決の問題があることは良く承知している。
ソスコヴェッツ第一副首相と河野外相が委員長を務める政府間貿易経済委員会の活動に大いに期待している。
また、経団連の支援により、最優先プロジェクトに関する輸銀融資協定が実現の運びとなってきたことに感謝する。
豊田会長、河毛委員長には、訪ロの機会があれば、議会の3つの経済関連委員会が主催する公聴会に是非ご出席いただきたい。それによって、法案の内容が充実し、また政府間委員会、民間委員会の活動にも寄与することと思う。

2.ザドルノフ国家会議予算・税・銀行・財務委員長

生産分与法の法案は、国際的な慣行を組み込んだものであり、5月には国家会議で採択の見込みである。上院と大統領の検討が早ければ、今年上半期末までに施行される可能性がある。並行して、関連する税法、関税法の修正の検討も進めており、年末までに政府の承認が得られると思われる。
税法については、体系化が図られ、税金の種類は大幅に削減される。例えば、来年1月1日から特別税、賃金基金超過税等が廃止となり、利益税は今年既に3%引き下げられている。
経済特区法は、現在国家会議で審議中であり、会計制度も、国際基準に基づいて、年末までには改正される見込みである。
議会で審議中の証券取引法は、特筆されてよい。ロシアの証券市場は急速に発展しており、アメリカ企業は積極的に参入している。日本の進出が待たれるところである。

3.クリック国家会議議員

外国企業に対する土地の賃貸に関する法案は、国家会議の本会期中に採択される見込みである。土地の賃貸期限は50年であり、農地、都市部のいずれにも適用される。これによって、外国企業は土地の購入資金を節約でき、その分を事業の発展に投資できる。

4.ブルコフ国家会議所有・民営化・経済活動委員長

国家会議は既に昨年末、民法の一部を採択し、投資活動を保証する私的所有権が確立された。土地の所有に関する条項は、さらに検討を重ねた上で採択される。
民営化の法的基盤は既に敷かれており、現実の要請に従って修正を加えていく段階にある。民営化には外国の参加も可能であり、ロシアの石油企業の株式は15%まで外国投資家が所有できる。しかし、日本の参加状況はその経済力にふさわしいとは言いがたい。
国家会議では現在、株式会社法に関する審議が活発に行われており、担保法の審議も予定されている。

5.グーセフ国家会議工業・建設・運輸・エネルギー委員長

当委員会は、国内生産者の法的支援を主眼としている。
言及された一連の経済立法では、当委員会も重要な役割を果しており、上半期中の採択をめざし最大限努力している。
当委員会は、電力・熱料金、運輸料金の国家管理に関する法律を作成したが、その特典を輸出企業にも適用するよう、ザドルノフ委員長の要請を受けている。
日ロ経済関係の潜在力は大変大きい。その発展に向けて、全力を注ぐべきと考えている。


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