来賓挨拶

新しい経済システムづくり

経済企画庁長官 高村 正彦


  1. 内需拡大を中心とする安定成長
  2. 政府の経済運営の第1の課題は、景気の回復基調をより確実にすることである。
    そこで政府は、内需振興策、規制緩和、経済構造改革推進など、従来の手法とは異なる緊急円高経済対策を決定した。2兆7000億円に上る95年度補正予算も成立。政府はこれを着実に執行する。
    また、日銀は公定歩合を0.75%下げ、政府の施策と相まって効果を上げている。先日のOECD閣僚理事会で、各国が財政金融・構造政策、為替などで、努力・協力する旨、合意したのも大きな成果である。

  3. 創造的で活力ある社会に向けた施策
  4. 第2の課題は、創造的で活力ある社会をつくるための構造改革の推進である。
    そこで、規制緩和推進計画の実施、競争政策の積極的展開、既存産業の事業革新支援などを通じ、市場機能の充実を図る。また、高度情報化への対応や独創的人材の育成に向けた環境整備などを推進する。

  5. 豊かな生活の実現
  6. 経済運営の第3の課題は、高齢社会の本格化を控え、消費者・生活者重視の豊かで安心できる国民生活の実現である。
    そこで生活関連分野などへの公共投資の重点的・効率的な配分を行うほか、内外価格差の是正に向け、価格差要因を明らかにするとともに、規制緩和、独禁法の厳正運用、競争制限的取引慣行の是正に努める。
    円高差益還元に向け、緊急円高対策の実行、公共料金の適切な対処と情報公開、電気料金の暫定値下げ拡充などを検討・実施する。また製造物責任法の周知徹底、紛争処理・事故原因究明体制の確立に努める。

  7. 世界経済の持続的発展
  8. 経済運営の第4の課題は、国際的相互依存関係の中で、世界経済の持続的発展と調和ある対外関係の形成に努めることである。
    そのため、ウルグアイラウンド合意の着実な実施、WTOの充実に協力したい。また、OTOの活動などを通じて、市場アクセスの一層の改善を図りたい。対日投資拡大に向けた施策の充実にも努める。

  9. 21世紀を活力ある社会にするために
  10. 21世紀を活力ある社会にするためには、構造的変化に対応しなければならない。6月13日に取りまとめる経済審議会中間報告を、首相は「閉塞感を打破し、具体的筋道がはっきり見えるものに」と言っている。
    バブル崩壊、大震災、サリン事件など、国民を取り巻く状況は、閉塞感に満ちている。これを打破するには戦後50年を支えた経済システムを転換しなければならない。経団連会員諸兄のご協力を願いたい。


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