キーティング オーストラリア首相歓迎昼食会/5月25日

規制緩和のさらなる推進とAPEC大阪会議での日本の役割を期待する


経団連は、日本商工会議所、日本経営者団体連盟、経済同友会、日本貿易会、日豪経済委員会と共催で、オーストラリアのキーティング首相歓迎昼食会を開催した。席上、同首相は、「率直に言って、オーストラリアから見ると、日本の規制緩和への取組みは十分でない」と述べ、さらなる規制緩和の推進を求めた。また、本年11月に予定されているAPEC大阪会議については、議長を務める日本の役割への期待を表明した。


キーティング首相

  1. 戦後50年間、日豪の経済人・政治家は両国経済に相互補完性があることに着目し、緊密で友好な日豪関係を築いてきた。この間は、オーストラリアから鉄鉱石、石炭などの一次産品が輸出され、日本から加工製品が輸出されるという貿易が中心であった。しかし今日、オーストラリアからは、コンピュータソフト、高速フェリー、医療機器などの付加価値の高い製品が輸出されるようになっている。1994年度の日本の鉱産物部門の対外投資の30%、食料部門の70%が、オーストラリアに向けられた。

  2. 日本は現在、規制緩和に取り組んでいるが、十分な成果を挙げているとは言えない。規制緩和の断行は、雇用創出、新規事業の育成など日本経済の活性化につながる。また消費者の利益にもなる。規制緩和によってもたらされる内需拡大や輸入増加により経常収支・貿易収支が改善し、円高も是正されるであろう。日本の規制緩和は、オーストラリアの輸出業者にも新しいビジネスチャンスを提供する。

  3. オーストラリアは80年代初頭から、関税削減、変動為替相場制への移行、金融市場の規制緩和、輸入数量制限の撤廃、外資の自由化、労使関係の改革などの経済改革を行なってきた。その成果により、昨年の経済成長率は5%で、OECD(経済開発協力機構)加盟国中最高であった。また、企業収益も急激に伸びた。最近では、
    1. 若者と長期失業者を対象とした職業訓練の拡大、
    2. 公共事業分野などでの競争の促進、
    3. 金融の引締め・公的年金保険料の引上げによる貯蓄率向上
    といった経済政策を行なっている。

  4. APECでは、昨年のボゴール会議において、2010年までの貿易・投資自由化に合意(先進国)している。11月の大阪会議ではこの合意の実施のための指針について合意することが期待される。議長役を務める日本に期待したい。


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