OECD諮問委員会総会(委員長 行天豊雄氏)/5月25日

OECD閣僚理事会、サミットの主要議題


外務省経済局の北島総務参事官より、OECD閣僚理事会の模様とサミットの展望を聞いた。
閣僚理事会では、相互に補完的なマクロ経済政策と構造改革の実施の必要性、高齢化対策、多数国間投資協定(MAI)などへの取り組みについて合意された。サミットについては、国際機関の見直し、核兵器問題などが討議される予定である。
以下は北島参事官の説明概要である。

(1) 5月23日〜24日に開催されたOECD閣僚理事会では、「経済成長、雇用、社会的進歩」「多角的体制の強化」「OECDの将来」の3議題の下で議論が行われた。

第1の議題については、アメリカ、ヨーロッパの経済成長率がOECDの予想を上回り、加盟国全体の失業率も低下、インフレも安定基調にあるなどマクロ経済状況のポジティブな側面と、構造的失業、不安定な為替相場、保護主義の潜在的な強い流れなどのネガティブな側面とを踏まえ、物価安定や財政再建を目標とするマクロ経済政策、失業対策などの構造問題への対応がコミュニケに盛り込まれた。特に高齢化問題については、96年のOECD閣僚理事会までにとりあえずの報告を取りまとめることで意見の一致が見られた。

第2の議題については、

  1. ウルグアイ・ラウンド合意の完全実施、
  2. 貿易自由化のモメンタムの維持、
  3. 新しい課題への対応として、多数国間投資協定(MAI)の交渉開始、貿易と環境等の問題への取組み、規制制度改革の推進、地域統合の監視など
について合意が得られた。とりわけMAIについては本年の閣僚理事会の最重要課題のひとつとして取り扱われ、交渉開始が決定されるとともに、97年の閣僚理事会までに合意を得ることとなった。
コミュニケ第2の議題をまとめる上で問題となったのが、「WTOに合致しないいかなる措置も禁止する」との原案であった。大部分の国が合意したにもかかわらず、アメリカが最後まで反対したこともあり、最終的な表現に落ち着いた。

第3の議題については、非加盟国、特に市場経済への移行期にある諸国との関係強化が中心的な課題である。

(2) サミットは、6月15日〜17日にカナダのハリファックスにおいて開催される。今回、エリツィン大統領が2日目のディナーから参加する。経済問題としては、国際機関、特にブレトン・ウッズ機関、国連機関の見直しのほか、成長と雇用、貿易問題、環境問題、原子力発電所の安全性などが議論されよう。政治問題としては、不拡散問題、平和・安定に関する国際機関の役割、中東和平、ユーゴ問題、国際犯罪、人権問題などが話し合われよう。


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