5月17日にGATT(貿易と関税に関する一般協定)第22条1項に基づく協議をアメリカ政府に要請し、協議の場をWTOに移す。日本が指摘するアメリカの違反は、(1)GATT違反および、(2)WTO紛争解決に係る規則および手続きに関する了解への違反である。
(1)
- GATT第1条は最恵国待遇規定であり、アメリカが日本製自動車についてのみ一方的関税引き上げを実施すれば、これに違反。
- GATT第2条は譲許された関税率を越えた関税賦課を禁じており、米国の100%課税が発動された場合これに違反。
(2) WTO協定の付属書である「紛争解決に係る規則および手続きに関する了解」第23条では、制裁発動に先立ち第22条に定める手続きにしたがって紛争解決機関の承認を受けなくてはないとしている。アメリカ側がこの手続きを経ず、301条に基づく「クロ」認定を行い、一方的措置リストを公表したことは、これに違反している。
日本政府は、アメリカの措置が直ちに日本企業の事業活動に悪影響を与え、産業・貿易に対して甚大な被害を与えるとし、「緊急ケース」として、アメリカ政府に対し10日以内にジュネーブにおいて協議を開催することを要請している。