経団連意見/6月20日
経団連では1992年以降、対日投資促進策に関する提言を数次にわたって行なってきた。わが国政府においても一連の規制緩和策を発表してきたが、依然として対日直接投資促進のためになすべきことは残っている。
経団連では国際企業委員会を中心に検討を重ねてきたが、6月20日の理事会において、わが国経済の国際化や構造改革のために外国からの対日直接投資を歓迎することを改めて表明し、政府の措置が不十分である項目について更なる改善策を求め、加えて新たな対日直接投資拡大・輸入促進に関する重点項目を提言した。以下はその概要である。
- 重点要望
1. 輸入促進地域(FAZ)の抜本的拡充
- 現行の輸入促進地域(FAZ)制度は輸入関連施設の整備に留まっており、法の目的である輸入・対日直接投資促進のためには輸入・投資事業者に対するインセンティブを拡充する必要がある。
- 総合保税地域の認定要件の緩和
総合保税地域制度を活用するため、指定要件を緩和し、輸入・投資事業者に対するインセンティブを拡充すべきである。
- 土地利用区分の廃止
総合保税地域の利便性の向上、FAZ地域内の効果的な施設利用のためにもFAZ域内を土地区分の対象外とすべきである。
2. 税制
- 対日直接投資促進のためには、わが国の高コスト構造の改善が不可欠である。特にわが国の諸外国と比較して高い税負担を軽減することが重要である。そのためには、まず法人税率の引下げを実施すべきである。また、あわせて連結納税制度の導入を図るとともに、OECDモデル条約にあわせ各国と租税条約を締結して、在日子会社から外国の親会社への配当に係る源泉徴収税率の5%への引下げ、および利子、ロイヤリティへの源泉徴収税の撤廃を図るべきである。さらに、税制の国際的な整合化、印紙税、有価証券取引税の撤廃を含めた見直し、外資系企業の参入・事業活動円滑化に資する税負担軽減措置の拡充を実施すべきである。
3. 年金通算協定について
- 日本政府は主要国との年金通算協定の締結を急ぐべきである。
4. 持株会社の解禁
- 国際的法制度との整合化、企業のリストラクチャリングの円滑化、外資系企業の対日投資策の観点から純粋持株会社を解禁するとともに、連結納税制度を導入するよう強く要望する。
5. 政府調達に関する業者登録窓口の一本化
- 政府調達に係る業者登録窓口を一本化するよう改めて要望する。
6. 民間有料職業紹介事業の自由化
- わが国の雇用問題への対応や外資系企業の人材確保のために民間主体が適切な条件(資格等)の下で職業紹介事業を展開できるようにすべきである。
7. リース・クレジット債権の流動化に関する規制の緩和
- 柔軟かつ効率的な資金調達が可能となるよう、必要な法的整備も含めて、リース・クレジット債権に係る資産担保型証券の導入措置を遅滞なく実施するよう要望する。
- 継続要望(詳細省略)
以下は、意見書「外資系企業の環境改善とわが国経済の改革について」(1993年12月21日)において当会が要望した事項についての継続要望である(詳細説明は省略)。
- 政府調達制度の改善
- 行政の透明性向上・行政手続の簡素化
- OTOの機能強化
- 景品表示法
- 年金通算協定の締結促進について
- 電気用品取締法の規制緩和
- 持株会社の解禁
- 社債、CPの適債基準の見直し
- 保険市場の改革
- 情報通信分野の規制緩和
- 外国法事務弁護士の活動について
- 事業者団体
- 税制
- 資金調達
- その他
- 建設業許可要件の緩和
- 減価償却資産耐用年数の見直し
- 適格年金資産の運用規制の緩和
- 適格年金資産の特別法人税の引下げ
- 政府の委託・補助による研究開発成果の取扱
- 統計報告・調査についての整理・合理化
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