第112回関西会員懇談会/6月8日
経済の活性化へ向けて関西の会員と懇談
大阪市において標記懇談会を開催し、「活力と創造性あふれる経済社会をつくる」を基本テーマに、当面の経済情勢と政策運営、アジア太平洋時代における日本の役割、関西経済の重要課題と経営者の役割について意見交換した。
当日は、豊田会長、久米・鈴木・米倉・関本・青井・樋口・高丘・今井の各副会長のほか、川上住友電気工業会長(関西経済連合会会長)、三好松下電工会長(関西経営者協会会長)をはじめとする関西の約300名の会員が出席した。
- 活力と創造性あふれる経済社会をつくる
- 経済政策運営に望む
- 川上 哲郎氏
住友電気工業会長
関西経済連合会会長
- 日本が戦後システムから構造的転換するためには、ISバランスを是正するマクロ経済政策やアジアを念頭においた投資拡大政策の実行、国際競争力を有する新産業創出のための市場機能強化が必要である。
APEC大阪会議では、域内の貿易・投資の自由化を具体化するために、日本の一層のリーダーシップ発揮が期待されている。
また、アセアン諸国とのより緊密な経済関係を築くために域内情報通信ネットワーク構築や人材育成協力を推進すべきである。
アジアとの国際分業体制の発展には、円の国際化推進が重要である。
- 新産業・新事業育成への取組み
- 三好 俊夫氏
松下電工会長
関西経営者協会会長
- 新産業・新事業育成を取り組む経営者の役割として、(1)自社の「CREED AND PHILOSOPHY」を明確なメッセージとして発信し、定款変更を含めた新事業推進の具体的な目標提示をすること、(2)トップ自らが新事業推進の組織をつくり、リーダーになることが挙げられる。
また、経団連としては、(1)研究開発投資に対する優遇税制を拡大する、(2)雇用維持のための「雇用調整助成金」を一部「新規雇用助成金」に制度変更することなど、政府が採るべき新産業育成政策を提言すると同時に、(3)労働力流動化政策(例えばポータブル退職金など)を労使共同で研究し、政府に積極的に投げかける必要がある。
- フロア発言
- 羽室 幸明氏
グンゼ社長
- 円高状態の長期化により、産業の空洞化が加速することが懸念される。
特に繊維業界は、他の先進国と比べて、生産、流通、小売りの各段階で合理化が遅れており、流通の近代化、公正取引の観点からの近代的取引形態の普及が急がれる。
- 津田 和明氏
サントリー副社長
- 日本が今後も強力な経済力を背景とした発言力を維持するために、高度技術を重視した新たな産業を育成し、日本経済に活力を取り戻す必要がある。そのためには、従来型の教育から「出る杭を伸ばす」教育へと、社会全体の考え方を変える必要がある。
- 関西経済の重要課題と経営者の役割
- 阪神大震災の復興計画の課題
- 牧 冬彦氏
神戸製鋼所相談役
神戸商工会議所会頭
- 関係者の尽力により、復旧は当初予想よりも早く進捗している。神戸商工会議所では、経済復興に向け、本年6月「新・神戸経済創成プラン」を策定し、中長期的な視点から、既存産業の活性化や新産業の創出に向けたプロセスを明らかにした。
そのポイントは、災害に強いインフラ整備と内外企業の立地促進である。そのため地元自治体とともにエンタープライズゾーンを設定し、特例的な規制緩和を行い企業立地を図りたいが、地域の働きかけのみでは実現困難であり、経団連も支援をお願いしたい。
また、WTO神戸センターの設立に当たっても、経団連の協力を得たい。
- 関西国際空港の全体構想の推進
- 大西 正文氏
大阪ガス会長
大阪商工会議所会頭
- わが国が“大競争時代”を生き抜くため本格的なハブ空港の整備が急がれる。ハブ空港を「国際公共財」と位置づけ、国の一般財源の大幅投入により先行的に整備すべきである。
また、ハード面の整備のみならず、空港使用料の設定など空港整備特別会計の仕組みや航空関係の規制の見直しが不可欠である。
これらを念頭に置き、関西国際空港の全体構想の実現に理解と協力をお願いしたい。
- 京都における国家プロジェクトについて
- 井上 太一氏
京都銀行会長
京都商工会議所副会頭
- 関西文化学術研究都市
関西文化学術研究都市は、21世紀初頭の完成を目指した国家プロジェクトであり、都市建設の第1段階が達成されつつある。 国土庁は「セカンド・ステージ・プラン推進委員会」を設け、2005年を目途として新たな整備目標を策定中であり、地元も産官学の連携をとりながらプロジェクトを進めていく。
- 京都迎賓館
今後の外国賓客の入洛機会の増加に対応するため、早期建設が求められており、昨年10月、京都御苑内に京都迎賓館を建設することが閣議了解された。付帯施設の整備や迎賓館の管理運営等の面で、経団連の協力を得たい。
- フロア発言
- 大庭 浩氏
川崎重工業社長
経団連海洋開発推進委員長
- わが国国土全体が活断層の活動期に入っているとの観測がなされており、地殻変動をリアルタイムで察知できる海底調査等の重要性を認識し、海洋開発に関する国費投入の割合を大幅に増加すべきである。
また、耐震性の面で優れた機能を発揮し、阪神地域の産業復興にも大きく寄与する浮体工法の海上施設や空港への採用を求めたい。
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