このような状況の中、経団連は6月1日の常務会において、サハリン地震被災に対し、 300万円の拠出を決定した。そこで、被災地へ救援活動に向かうボランティア団体のひとつアガペ・ハウスの緊急救援隊ジャパン・エマージェンシー・チームを支援することとした。同チームには、阪神大震災をはじめ、北海道南西沖地震、雲仙普賢岳、海外の災害に関しては92年のインドネシア地震においても経団連が支援した経緯がある。
同チームへの支援としては、被災地における通信手段の確保から、KDDならびに同社の関連会社である国際通信施設(株)(KTI)のご協力を得て、衛星電話を提供することとした。また、その他、医療用品ならびに活動費を提供した。
6月8日午後2時30分、被災地に向かう同チーム2名のうち1名は、羽田空港を発ち、函館空港4時30分発のアエロフロート機でサハリン州の州都ユジノサハリンスクに向うこととなった。函館空港での乗換時間は、わずか40分。この間に、京都から向かった同チーム1名との合流、衛星電話、医療用品の機内への搬入を済ませなければならない。うまく事が運ぶかどうか、関係者たちは心配していた。4時28分、同チーム2名、物資とも函館空港を無事出発したという連絡が経団連に入ると、一同、ひとまず安心したという次第である。現在では、この衛星電話は、被災地から同チーム本部への重要な通信手段として活用されている。
同チームをはじめ、世界各国で災害が発生するごとに、民間のボランティア団体がいち早く行動を起こすことが多い。その行動力は大いに評価すべきであろう。今回の支援に際し、このような団体を支援する意義を再認識することができた。