国際金融常任委員会(委員長 若井恒雄氏)/7月3日

ハリファックス・サミットの模様および為替相場の動向について加藤大蔵省財務官と懇談


国際金融・資本交流委員会では、常任委員会を開催し、加藤大蔵省財務官より、ハリファックス・サミットの模様および最近の為替相場の動向について、説明を聞くとともに、為替相場の安定策等について懇談した。以下は加藤財務官の説明要旨である。

  1. ハリファックス・サミットは、為替相場安定の必要性について、首脳レベルで意見の一致がみられたことには意味があった。
    他方、通貨制度改革については、結局、変動相場制度に代わるような新たな制度を見いだすことができず、政策協調の強化および協調介入を通じ、変動相場制度を機能させるという常識的な結論になった。

  2. 国際機関の見直しについては、メキシコの流動性危機に鑑み、
    1. 問題の早期発見のため、IMFのサーベイランスを強化する、
    2. 問題が発生した際の大規模な緊急支援メカニズムを構築すること
    等が合意された。

  3. サミットの準備段階で、カナダより為替投機を抑制するための資本取引課税制度が提案されたが、実務的にも、理論的にも問題があるとの結論になった。他方、シラク仏大統領等から自由な資本・為替取引の容認を疑問視する意見も出された。来年のサミットに向けてどのような動きが展開されるか注視したい。

  4. 日本は、先進国の中で貿易依存度は低いが、輸出入の自国通貨建て比率が低いなどの理由から、ドルの減価の影響を最も強く受ける。為替変動の影響を緩和していくべく貿易の円建て化を中長期的に進めるなどの努力が必要である。
    他方、大蔵省としては、東京市場の環境整備に引き続き努力したい。

  5. 円高是正のために、経常収支黒字の削減目標を設定すべきであるとの意見がある。
    しかし、経常収支は、外国の経済動向や為替、原油価格に大きく左右されるため、こうした目標実現のための有効な手段がない。仮に目標を設定し、その実現に向けて努力すれば、輸出の抑制あるいは輸入拡大が経済にデフレ的影響を与えることに留意する必要がある。
    このように、経常収支黒字削減を目標とするマクロ政策運営には疑問がある。政府としては、国内景気が回復するよう努力し、その結果として経常収支黒字が削減されるべきものと考えている。


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