第2回AFTAセミナー/6月30日

AFTAの進展についてASEANより聞く


経団連では、日本貿易振興会、日本商工会議所、経済同友会、国際機関アセアンセンターとの共催により、経団連ホールで「第2回AFTAセミナー」を開催した(参加者約350名)。
経団連を代表して、末松副会長・アジア委員長が開会挨拶を行った後、ASEAN事務局を含むASEAN側講師より、AFTA(ASEAN自由貿易地域)の進展とASEAN6ヵ国の対応、各国の投資環境の現状について説明を聞いた。また、今回は各国別投資相談会を開催し、参加者に対して、より詳細な情報を提供した。AFTAスキームに関する説明の概要は以上の通り。

  1. AFTAの目標は、域内のコスト削減、外資導入により、ASEAN域内の貿易・投資を一段と活発化させ、グローバル市場におけるASEANの競争力を向上させることである。そのために、93年1月1日より開始したCEPT(共通効果特恵関税)に基づき、関税を引き下げている。

  2. 94年9月のASEAN経済閣僚会議において、AFTA−CEPTに関して3つの重大決定が行われた。第1の決定は、関税引き下げの期限を15年から10年間に短縮し、2008年までに関税を0〜5%に削減すること。第2は、一時的除外品目(各国の事情により、引き下げを留保されているもの)を2000年までに撤廃する。第3に、当初永続的除外品目であった農産物も関税引き下げの対象とすることであった。これにより、2008年には、生命財産や安全保障等に関連する一般的例外品目を除いて、全品目の約9割の関税率が5%以下に引き下げられることになる。

  3. これと併せて、数量制限、貿易を制限するような外貨規制、その他の非関税障壁の撤廃にも取り組む方針が明らかにされた。

  4. 今後のAFTAの見通しとしては、域内の関税引き下げの着実な実行によるDeepening と同時に、AFTAの拡大、域外への対応などBroadeningが重要となろう。

  5. ベトナムは本年7月にASEANに加盟し、96年1月1日より関税引き下げを開始する予定である。ベトナムの参加により、ASEANの総人口は4億2000万人(現在3億5000万人)に増大する。市場の拡大により、ASEAN経済の再活性化が期待できる。

  6. ASEANはAFTAを通じて経済統合を推進していくが、それは閉鎖的なブロックとなるものではなく、域外に開かれた形のものである。AFTAの進展に呼応して、最近インドネシアやタイがディレギュレーション・パッケージを公表し、MNFベースでの関税引き下げを本格化させているのは、AFTAの精神を反映したものである。NAFTA(北米自由貿易地域)やCER(豪州・ニュージーランド経済緊密化協定)との協力のあり方も模索している。また、サービスや知的所有権の分野での協力も今後検討する予定である。


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