流通委員会(委員長 前田勝之助氏)/6月14日

わが国流通の現状と課題について通産省からきく


産業構造審議会・中小企業政策審議会では、5月15日、21世紀に向けた流通ビジョンとして、「わが国流通の現状と課題」と題する中間答申をとりまとめた。流通委員会では、通産省産業政策局の大宮商務流通審議官を招き、本答申について説明を聞くとともに懇談した。

1.大宮審議官説明要旨

1.流通構造改革の現状と背景

1991年から1994年の間に、小売商店の総数は161万店から150万店に6.6%減少している。減少しているのは、4人以下の小売商店(127万店から114万店、10.9%減)である。経営形態別にみると、1950年代後半から1994年の間に、個人経営小売店のシェアは、商店数では約90%から60%台に、販売額では約40%から20%弱に減少している。
急激な構造変化が生じている背景としては、消費者の価格志向の強まりや、大店法をはじめとした規制緩和の進展、円高による輸入品の増加等があげられる。

2.流通構造改革の特徴点

流通構造改革の特徴としては、第1に、「製・配・販」の連携により、トータルシステムとして効率化を追求していること、第2に、PB商品の開発等、流通業者が製造業者に対してイニシアティブを発揮するケースが目立っていることが挙げられる。第3に、輸入品の増大や外国資本の流通産業への参入が増加していること、第4に、流通産業の社会的責任が増大し、PL法や容器包装ごみリサイクル法への対応、街づくりへの協力、災害対応支援ネットワーク作り等が求められていることが指摘できる。

3.政策課題

規制緩和の流れの中で、政府の役割は独禁法の適正運用やEDI(電子データ交換)等情報化に向けた条件整備、社会的要請への流通産業自らの対応への支援等と考える。

2. 懇談

経団連側:
  1. 大店法の段階的廃止の方針を早期に打ち出すべきである。
  2. 地方公共団体の規制も緩和すべきである。
  3. 並行輸入の不当阻害、再販価格維持行為等は不透明な部分が少く、是正を望む。
  4. 経団連も民間事業者による取引慣行の是正に取り組んでいる。

通産省:
  1. 大店法は、この5年間に3度にわたって規制緩和を行い、効果は着実に現れている。当分は事態の推移を見守りたい。
  2. 大店法に係わる地方公共団体の独自規制、行政指導については通産局に相談窓口を設けているが、地方自治も尊重すべきであり、国が地方の規制緩和をどこまで推進できるのか、難しい問題である。


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