経済協力委員会国際協力プロジェクト部会(部会長 由布震一氏)/6月27日

民間国際協力プロジェクトを推進


国際協力プロジェクト部会では、地域的広がりのある開発協力案件、地球環境保全に効果のある案件、国際貢献的性格を有する案件など、わが国民間経済界全体で推進するのに相応しい案件の実現に向けて取り組んでいる。同部会では、民間経済界、国連機関、NGOが共同で調査を進めている「中国ケナフ・パルプ開発プロジェクト」(2月23日〜3月4日、F/Sミッション実施)についてミッション団長の新王子製紙山田純爾取締役より説明を受けるとともに、サウジアラビア銅精錬プロジェクトの進捗状況について日本国際協力機構(JAIDO)倉垣卓取締役より報告を受けた。

  1. 中国ケナフ・パルプ開発プロジェクト
    −新王子製紙山田取締役発言要旨
    1. 本プロジェクトは、(財)地球・人間環境フォーラムが環境保全案件として調査・研究を進めてきたが、94年7月、本部会に対し企業化に向けての協力要請があった。経団連では開発と環境保全の両立、いわゆる持続的成長(Sustainable Development)のモデル・ケースとして極めて重要であると考え、この要請に応えUNIDO(国連工業開発機関)の協力を得て95年2月にF/Sミッションを派遣するに至った。

    2. 現在、ケナフ・パルプを市販しているのは、タイのフェニックス社1社のみで日本国内の需要に十分に応えきれていない。同プロジェクトでは、中国湖南省の源江造紙厰との合弁により年産5万t規模のケナフ・パルプを製造し、中国国内および日本で販売する計画である。

    3. 経団連F/Sミッションの調査・結果をとりまとめ中であるが、投資回収年数を試算したところ、11年程度となりそうである。ただし、借入れと資本との比率、日中の出資比率、設備投資額や原料買取り価格などの条件が変われば、企業化の可能性も少なくない。

  2. サウジアラビア銅精錬合弁事業
    −JAIDO倉垣取締役発言要旨
    1. 本事業は、産業振興を最主要課題とするサウジアラビア政府の要望に応え、工業化支援を通じてわが国と同国の友好関係を深めていくことを目的とする。サウジアラビア側の事業主体はゼネル社であり、日サの合併によって年産15万tの電気銅を生産する計画である。サウジアラビア政府からは準ナショナル・プロジェクトとして受け入れられており、わが国政府も本プロジェクトの推進を強く支援している。

    2. 米国ベクテル社の財務分析によれば、事業総コストは約500億円と算出されている。コンソージアムの形成が今後の課題である。


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